断腸亭料理日記2019
1月13日(日)夜
日曜日。
両国の[ももんじや]である。
「山くじら」とは、猪肉のこと。
そのすき焼き。
ここの創業は享保3年(1718年)。
江戸も真ん中あたり。吉宗の頃。
東京で今も続いている江戸創業の飲食店はそう多くない。
なかでも、享保創業というのは、かなり古い方であるし
このあたりまでくると数も少ない。
ご案内の通り、獣肉食は江戸期にはタブーであったわけだが
そんな店が東京でも1、2を争うほど古いというのは、
ちょっとおもしろい。
毎シーズン、必ず一度は訪れている。
内儀(かみ)さんが好きだというのもある。
年が明けたので、亥年。
まさに、この店の年、である。
混んでいるのでは、と危惧をしていた。
一つ前の亥年にきて、大混乱であった記憶があったのである。
TELを入れてみると、そうでもなさそう。
開店の17時に。
開店すぐであれば、そう待たされることもないであろう。
15分前に出て、タクシーで向かう。
蔵前通り(江戸通り)から両国橋を渡って
一つ目の信号で降りる。
[ももんじや]は向こう側。
京葉道路を渡って、店の前。
うわっ。
以前から、ここにぶら下がっていたが数が増えている。
このスペース自体もきれいになっている。
大昔は生身のいのしし君であったが、もちろん今は、はく製。
これもなかったと思う。
墨田区が建てているよう。
店に入り、帳場で名前をいう。
お二階へ。
階段を上がって、再度名乗る。
左の奥へ。
開店すぐのはずだが、どういうことか既にお客は
入っている。皆、早いのか。
内儀さんが猪鍋に鹿肉の刺身をつけて頼んであった。
ビールをもらう。
お膳の上には既に鍋の用意ができている。
鍋の中のつゆは、味噌ベース。
お通し。
猪のすじ肉の煮込み。
薄めの味噌味で大根と煮てあり、うまい。
肉がきた。
猪鍋は、ぼたん鍋などともいうが、肉の色は、豚肉よりも
もっと赤く、脂身もたっぷりある。
野菜などは、ザク、などというが、お姐さんが肉とともに
鍋に入れてくれる。
ザクは、長ねぎ、芹(せり)、細めの白滝、豆腐
なんというところ。
さて。
ここからが問題。
猪肉というのは、待たねばならない。
なぜだか猪肉は煮る時間を15分以上取らないといけない
のである。
色が変われば食べても問題はないのだと思うのだが、
この時点では、まだ堅い。
これが、不思議と15分煮ると、柔らかくなる。
最初にこの店にきた時に、よく聞かないで
食べ始めてしまったことがあったのである。
待つ間に、鹿刺し。
これもまた、上々。
くさみもなく、淡泊でうまい。
腹が減っているので、バクバク食べてしまう。
そして、我慢できず肉以外は、食べ始めてしまう。
よし、15分!。
食べるぞ。
この味噌のつゆは、赤い色だが、江戸伝統の江戸甘味噌
がベースではなかろうか。
これにさらに砂糖、甘みを加えているか。
かなり甘め。
15分煮ているので柔らか。
脂身はプリっとした食感で、うまい。
最高である。
肉を少し残し、うどんもあるが、飯をもらう。
この味噌のつゆと肉を飯にのせて食べる、のである。
これがまた、堪えられないうまさ。
ご馳走様でした。
亥年、万歳!。
墨田区両国1-10-2
03-3631-5596
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