断腸亭料理日記2018
10月3日(水)夜
だいぶ、涼しくなってきた。
なにを食べようか考えて、
鴨せいろ、もしくは、鴨のヌキに思い至った。
白状をすると、なかなか思いつかず、
10月の過去の日記を読み返して、発見した、
のではあった。
鴨せいろというのは、むろんのこと、
蕎麦のことで、鴨肉などをそばつゆに入れたもので
せいろのそばを手繰るというもの。
また、鴨南蛮というものもある。
こちらは、同じく鴨肉が入ったそばだが、
温かいもの。
これの、そばぬきが、鴨ヌキ、あるいは、鴨のヌキ、
という。
ヌキは酒の肴。
つまりこれで酒を呑む。
天のヌキ、天ヌキといえば、天ぷらそばのそばぬき。
天ヌキは私は、夏以外、浅草の並木の[藪蕎麦]で
酒を呑むときには、頼むことに決めているもの。
毎度書いているが、歌舞伎「雪暮夜入谷畦道
(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)」
入谷そばやの場、菊五郎の粋な直侍。
江戸の男のそばやでの美学を詰め込んだ芝居である。
ここには「玉子のヌキ」というのも出てくる。
そばのかけつゆに生玉子を落としたものだと思うが
これも一度再現してみたことがあった。
ともあれ。
そばつゆに、脂・油のあるものを入れて煮たもので
酒を呑むというのは、私は気に入っている。
自分でやってみたのは、鶏肉、牛肉、豚肉。
このあたりは、問題なく成立し、うまい。
と、いうことで、今日は本家の鴨肉でやってみよう、
ということである。
ハナマサで凍った鴨肉。
隣のスーパーでねぎ、三つ葉、生そばを調達。
長ねぎは焼いて。三つ葉も薬味には欠かせない。
帰宅。
鴨が凍っているので、解凍に時間がかかる。
内儀(かみ)さんもいたので、夕飯は用意があった。
明日にするか。
鴨肉だけ解凍しておこう。
鴨肉は、脂身をそばつゆで煮出すのと、叩いて団子にする。
それから、中は半生にして焼いたもの。
この三つ。
解凍が終わったら、一枚焼くだけ焼いておこう。
これはもも肉であろうか、大きな脂身だけ切り離して、
魚を焼くグリルで表裏焦げ目を付ける。
鴨肉というのは、火を通せば縮む。どんどん縮んで堅くなる。
半生に仕上げるのが鉄則であろう。
ここまでして、ラップに包んで、冷蔵庫に入れておく。
さて、翌日。
焼いたもの。
よい感じではなかろうか。
切っておく。中は赤味が残っている。OK!。
もう一枚、生のもの。
団子にする分だけ、切って、叩く。
長ねぎを5cm程度に切って、同時進行で
ガスのグリルで焼く。
鍋に脂身。脂が出やすいように細かく切った。
脂は炒めて脂を出し、つゆ(桃屋)と水を入れる。
鍋に叩いた鴨肉を丸めて落とす。
つくね団子を入れるのは具、という意味もあるが、
より鴨の出汁が出る。
ねぎは焦げ目がつくまで。
三つ葉も洗って切っておく。
鴨肉団子に火が通ればOK。
焼いた鴨肉、焼いたねぎ、三つ葉は最後に入れる。
鴨のヌキの出来上がり。
ビールを開けて、食べる。
焼いた鴨も半生に仕上げたのでちょうどよい。
鴨肉団子も適当に粗挽きで、よい食感。
味も上々。
脂もよく出ているので、風味もよい。
鴨の脂というのは、大量に出てつゆの表面がギトッと
して見えるが、不飽和脂肪酸ということで身体には
わるくないようである。
焼ねぎもGood。
鴨は合鴨で国産の高価なものではないが十分にうまい。
酒の肴としては、鴨のヌキ、なかなかなもの
ではあろう。
生そばを茹でて、せいろに盛り付け。
残ったつゆで、たぐる。
これもまた、格別。
まさに、堪えられないうまさ。
満足、で、ある。
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