断腸亭料理日記2018

五反田・立ち喰い寿司・都々井

11月22日(木)夜

連休前。
木曜だが、気分的には金曜。

昨日配信の「鱸の昆布〆」を書ていた、ということも
あるのだが、帰り道、ちょいと鮨がつまみたくなり
立ち喰い寿司[都々井]に寄ることにした。

ここは長らく五反田駅東口前にあったのだが、
駅の再開発にあって、しばらく休業、今年に入って、
目黒川沿いのビルに入って再開していた。

今時珍しいともいえるチェーンではない
立ち喰い鮨。
カウンターに手を洗うための水道の蛇口が、前の店には
あった。
そうそう。浅草橋駅ガード下の[美家古鮨]の立ち喰いにも
蛇口があった。(こちらは閉めてしまったよう。)

握り寿司発祥、江戸の屋台、立ち喰いのDNAを受け継ぐもの
といってもよいのではなかろうか。
鮨は手でつまむ。昔はおしぼりではなく、手を水道で
洗っていた。

にぎりの鮨というものは今でいうファストフードとして
発達してきた。もちろん発祥当時から高級な鮨店というのは
既に存在していたようだが、気軽につまめるのもずっと
にぎり鮨のスタイルであったのであろう。
この系譜は回転寿司に受け継がれているといってよい。

回転寿司というのは、この前も富山で入ったが、地方へ行けば
地の魚を使ってうまいものを握ってくれる。だが東京では、
私自身はまず入る気にはならない。

毎度書いているが立ち喰そば、路麺もまったく同じ。
チェーンと個人営業の違いなのであろうか。
満足感が違う。
これは回っていなくとも同じである。

さて[都々井]。

駅前にあった頃の店は、駅前というのか、駅構内というのか
三角形の妙なスペースにあったので、店内も妙な三角形の
カウンターであったが、今は四角い普通の店舗でちょっと広い。
カウンターと立ち席だがテーブルのようなものもある。

7時前、暖簾を分けて入る。

カウンターの真ん中があいていたので、そこに。

お酒をお燗でもらう。

以前から変わっていないと思うが、握り手は三人。
私の前はご主人、親方であろうか。
ちょっと怖そうな四角い顔の親父さん。

まずは、光物といか。

鰯、秋刀魚、いか。

いかはするめのよう。

立ち喰いだと二つずつのところが多い思うが、
いわなくとも一つで握ってくれる。

鰯がばかうま。
秋刀魚よりも脂がある。
あたりである。

続いて、小肌、鯵、いなだ。

いなだは鰤と書いてあったような記憶もあるが、
やはりこれはいなだであろう。
まだ脂はないがたくさん獲れているのであろう。

小肌は自家製か〆たものを買ってくるのか、
おそらく後者であろう。
鯵は脂はあまりない。鰯がよければ、鯵はもう一つ。
おおかたそんなものかもしれない。

かんぱち、しまあじ、鯛昆布〆。

先ほどの鰤(いなだ)とかんぱち、しまあじは
見た目にはほぼ見分けがつかなかろう。
まあ、食べても分かりにくい、か。

そろそろ、終盤。

下足と青柳。
青柳は生。下足は先ほどのするめいかであろう。

最後に、鉄火巻。

以上。

ご馳走様でした。
勘定は3,000円ほど。

回転寿司でもこのくらいかもしれぬ。
ただ、回転寿司は一皿二つであるが。

最近は回っていない立ち喰いのチェーンもよく見る。
入ったこともあるが、やはりなにかが違う。

チェーンと個人営業の違い。
では、なにが違うのであろうか。

チェーンの方が大量に仕入れるので
場合によってはよいものがあることはあろう。
個人営業でも出来合いの種を握っているだけ
ということもあるやに思われる。

それでも私は個人営業の方がよいと感じる。

満足度が違う。この原因は技術と人なのではなかろうか。

回っておらず、対面の立ち喰いでもチェーンは
やはり顔が見えないように思うのである。

かたや本部で決めたものを決められたように、
握っているだけ。よけいなことは、おそらくしては
いけなかろう。なげやりとまでいうのは言い過ぎだとは
思うのだが、、、。
チェーンの鮨職人の技術が劣っているのというのでは
なく、モチベーションの違いというのか。

気軽に入れて、ささっと、つまめる立ち喰い鮨は
なくなってほしくない。ただチェーンはいやだ。
個人はチェーンと比べたら経営はたいへんであろうことは
想像できる。ここもずっと続けてほしいし、若い鮨職人にも
個人で立ち喰いを開業してほしい。
ここには若いサラリーマンや、女性も多い。
明らかにチェーンとは違う。
支持は得られると思うのだが。


03-6417-3564
品川区西五反田1-9-3 リバーライトビル半地下

 

 

 

 

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