断腸亭料理日記2018
5月22日(火)夜
さて、立ち喰い鮨、で、ある。
[まぐろ人][魚河岸日本一]だの、チェーンは増えているように
みえるのだが、路麺(個人経営の立ち喰いそば店)ではないが
個人経営の立ち喰い鮨は減っている。
そういえば、拙亭近所の路麺[あずま]もついに
閉店してしまった。
店のガラスに貼られた紙には“人手不足”と書いてあった。
立ち喰いというのは、いずれにしても薄利ではあろう。
個人経営ではやはり限界があるのか。
浅草花川戸松屋脇の馬道沿いに長らくあった、
これも名前は[魚がし寿し]、も、少し前になくなってしまった。
(椅子はあったので、格安鮨というべきか。)
安くてうまい。
気軽。
回転ずしや、チェーンの立ち喰い鮨と個人経営の立ち喰い
(格安)鮨はなにが違うのであろうか。
明らかに、後者の方に魅力があるのだが。
一見同じようではある。
安く、気軽。
回転ずしでも、それなりに、うまい、というものも
なくはない。
個人経営の立ち喰い(格安)鮨のにぎりが、すべてうまいのか
といえば、はずれる場合ももちろんある。
この違いは結局、人が見えるのかどうか、に尽きるのであろう。
人の顔が見えた方が、信用もできるし、魅力も感じる。
どこか本社の企画部の調理場で誰かさんが考え、
どこかのセントラルキッチンでさばかれ、こしらえられ、
ひょっとしたら、機械で握られたものよりも、
顔が見える、人が握った鮨の方が魅力があるように
感じられる。
工業製品のように規格化され、マニュアル化されたもの
よりも生身の職人が選びこしらえ、握ったものの方に
価値がある。回転ずしでも地方の店がよいのは、
規模が小さいからか、顔が見えるところが多い。
なにかもう少しあって、説明しきれていないような
気もするのだが、、。また、宿題にしよう。
ともあれ。
五反田の[都々井]。
少し前まで駅東口の三角の妙な場所にあったのだが、
JRの駅再開発でなくなっていた。
それが、駅から多少離れるが、復活したとの情報を得たのである。
これは行かねば。
西口側、例の讃岐うどんの路麺[おにやんま]の裏の、目黒川沿い
ビルの半地下。
6時台、入ってみる。
以前は三角のカウンターで妙な店内であったが、
今度は随分と広い。スタンディングだがテーブルもある。
板さんは同じ顔の三人。
まだ早かったのか先客は入れ替わりで二人組が出て行った
ところで、私一人。
カウンターに立つ。
以前は、東京の立ち喰い寿司の昔の形、
手洗い用の水道の蛇口と流しがついていたのだが、
さすがに新しい店にはない。
瓶ビールをもらって、特上一人前をもらってみた。
上左から、大トロ、しまあじ、白身(聞き忘れた)、ぼたん海老、かに。
下左から、子持ち昆布、生つぶ貝、いくら、うに、鉄火巻。
これで1,800円。
大トロもちゃんとした、大トロ。
生つぶ貝が、小さいが味は秀逸。
こういうところが、個人経営だからこそのよさ、
なのではなかろうか。
貝が小さくて大きく切れないからなのか、値段の関係で
小さいのか、わからぬが、小さくてもうまいものを
出そうという心持が伝わってくるように思うのである。
追加で光物、小肌、いわし、鯵。
昨日家で食べたもの同様、いわしがかなりうまい。
鯵も上々。こういうものは、高い鮨やでも格安鮨でも
ほぼ変わりはない。
小肌はもう少し〆たのが好みではある。
まぐろヅケ、平目昆布〆、いか。
いかはスルメか、コウイカか聞かれたので、
コウイカを頼んでみた。
もう一つ。
コウイカは江戸前でいうスミイカだが全国的な一般名は
コウイカ。スミイカはこの時期は産卵期で出回らないので
冷凍の輸入物、かもしれぬ。(前からこうであったか。)
もちろん、こういう種もある。
最後、気になった、旬(?)の生の小魚軍艦二種。
左がノレソレ、右が白魚。
ノレソレは穴子の稚魚。今が旬。プリプリ。
白魚は、鮮度、で、あろうか、もう一つ。
終了。
ご馳走様でした。
勘定は3,000円ちょい。
もちろん、凸凹はある。
どれも100点満点だったら、もっと値が張ろうし、
立ち喰いである理由にもならない。
ただ、ちょいと食べられる。
ちゃんとした鮨やであれば、ちょいと、という
わけにはいかない。
ちょいと、が、いい。
そして、顔が見える。
新規開店、おめでとうございます。
この店は、五反田という場所柄か若いサラリーマンの固定客も
少なくなかった。
ご繁盛をお祈りいたします。
03-6417-3564
品川区西五反田1-9-3 リバーライトビル半地下
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