断腸亭料理日記2018

稲荷町・天ぷら・天三

5月30日(水)昼

さて、ちょっと課題にしていたところ。

拙亭ご近所でもある、元浅草、稲荷町の天ぷらや
[天三]。

私が住むのは元浅草の一丁目で春日通り寄り。
この店は二丁目の浅草通り寄りで稲荷町の
交差点に近い裏通り。

以前からもちろん知っており、店の前は
なん度もなん度も、数え切れぬほど通っていたのだが、
一度も入ったことはなかった。

それが最近、口コミグルメサイトでそこそこの
人気になっていることに、気が付いたのであった。

ネットの情報ほどあてにならないものはない、
のではあるが、近所の店でもあり、行ってみなければ
ならなかろう、と思っていたのである。

午前中、通院のため仕事を休んで、昼、家を出て
稲荷町駅に向かって歩いてこの店の前を通りかかった。

昼飯は目的地の日本橋ででも、と思っていたのだが、
前を通って、課題であったことを思い出した。

入ってみるか。

12時5分前。
先客は小上がりに女性の三人組だけ。

狭い店だが、小上がりにカウンター、二階もあるよう。
カウンターに掛ける。

目の前が調理場で、比較的高齢とみえる
ご主人らしき男性が揚げている。

その隣に、似た顔の男性。
息子さんか。
年は30代くらいであろうか。

後ろの壁に、紙の短冊に書かれた品書きが
貼られている。

単品が右側から貼られ、
続いて、天丼(えび、きす、いか、かき揚げ)1,000円。
かき揚げ丼(小海老)1,000円。
このあたりが、最もお安い。

そこから、特天重(穴子一本とおまかせ)、
えび天重(えび4本と野菜)ともに1,800円まで
いろいろ。

天丼が多いが、定食もある。

これ以外に「季節の天丼」1200円。
ホタテ、えび、きす、野菜。

これは、店の表にも貼られており、
前から気になっていた。

これでいこうか。

女将さん(おかあさん)がお茶を持ってきてくれる。

「季節の」と頼む。

12時になった。

次々に、お客が入ってくる。

近隣のサラリーマンであろう。

小上がり、カウンター、さらに二階。

タッチの差でよかった。

サラダとお新香がきた。

やはり、前の二人、親子ではなかろうか。

ちょっとつっけんどん感のある微妙な会話が、
いかにも親子。

手元が見えないので、よくわからぬが、
息子さんの方がアシストで、ご主人の方は
揚げているだけ、か。

むろんのこと、一番先に私のがきた。

味噌汁は、豆腐とわかめ。
出汁感が強い。

「季節の天丼」。

手前の丸いのが、ホタテ。
食べると、大葉ではさんである。
なかなかさわやか。

えびは二匹。いわゆるサイマキ海老であろう。
正統江戸前。

きすは、ちょっと小さいもの。

野菜は、しし唐、茄子、ヤングコーン、
下に、蓮根。

かなりのボリューム感。

味は見た通り、濃い甘辛のこれも正統派
江戸前。

ただ、まあ、これは好みの問題だが
ちょっとタレの粘度が強い。
ベトッとしすぎてしまう。

ともあれ。

〆て、正しい江戸前天丼。

うん、うん。
よいのでは、なかろうか。

腹もかなり、一杯。

ご馳走様でした。

さて。

どうであろうか。
私の感覚。

私としては、どうしてもこの系統であれば
実は[蔵前いせや]さんが贔屓。

こちらは、かの吉原大門前[土手の伊勢屋]の
親戚筋。

まあ、それはよいのだが、どちらも
正しい江戸前天ぷらや。それも町の庶民派。
こんな店がなん軒もあるこの界隈。
大切にしたい、ではないか。






台東区元浅草2-8-8
03-3842-6464




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