断腸亭料理日記2018
3月7日(水)昼
さて、水曜日。
愛知県出張。
愛知県といっても名古屋ではなく、知多半島の方。
名古屋駅で乗り換えて、名鉄。
昼は、名古屋駅で食べようということになった。
と、なると、なにか。
ひつまぶし、もしくは、味噌煮込みうどん。
名古屋で食べたいものといえば
この二つである。
この二つはどこへ出しても通用する味であろう。
名古屋名物もいくつかあるが、
誇るべきものだと私は思う。
それに加えて、もう一つだけ挙げるとすると
あまり知られていないないが、カレーうどん。
濃い味好きな名古屋では、なぜだかカレーうどんもうまい。
一般には、これに味噌かつ、というのが名古屋名物として必ず入るが
私はあの甘さがだめ、である。
ひつまぶし。
ひつまぶしに限らないが名古屋はうなぎもうまい。
名古屋人も大好きであろう。
3年ほど名古屋に転勤で住んだ経験では、特に有名なところで
なくとも、おしなべてうまいかった。
蒸さないで焼く西日本式だが、名古屋の、蒲焼きはうまい。
東京の人間が食べても十分に柔らかい。
さて、味噌煮込みうどん。
これは、名古屋ではどこのうどんやでも
食べられるし、名古屋圏の家庭でも食べられる。
地場の食品メーカーから袋ラーメンのような
インスタントも昔から出ている。
そんなわけで名古屋人で嫌いな人はおそらくいない。
有名なチェーンが二系統。
表題の[山本屋本店]と、もう一つ[山本屋総本家]。
これは好みであろうが[本店]の方が、麺が堅い。
私としては[本店]が贔屓、である。
名古屋駅付近では新幹線側の地下街か近い。
昼時は並ぶことも多いのて少し余裕を持って到着。
並んでいる人はいたが、1、2分で入れた。
注文はノーマルな味噌煮込みに、ご飯付き。
昔から必ず生卵が大丈夫かと聞かれる。
むろん味噌煮込みには生卵は必須である。
赤味噌と生卵の相性のよさはこの上ない。
まず、ここは漬け物がくる。
ご飯と漬け物は食べ放題。
ここの漬け物は、季節で変わったりするが
なかなかうまい。
味噌煮込み登場。
名古屋では土鍋のふたが取り皿。
お気付きになろうか、蒸気抜きの穴がふたにない。
これが名古屋のマナーなので、決して
行儀がわるいといってはいけない。
ふたを取る。
大盛りにあたる、一半(イチハン)、牡蠣入り、名古屋コーチン入りなど
色々あるが、これで十分。
ご飯は付けなくとも、量的にはよいのだが
やはりこの濃いつゆには白い飯が欠かせない。
玉子をいつ崩すのか、好みの分かれるところだが
私は崩さずに、終盤、つゆとともに
すすり込むのが好み。
最後までつゆが濁らないのがよいからである。
入っているものは、ねぎに油揚げなど。
名古屋地方のねぎというのはご存知であろうか。
ちょっと、おもしろい。
関西の青ねぎ、東日本の白ねぎというのは、
皆様ご存知であろう。
真ん中の名古屋はどうか。
半々なのである。
つまり、半分白くて、半分は青い。
東日本は青い部分はほぼ使わないので、
畑で作られる時から白い部分を長くし、
出荷するときには、青い部分は切ってしまう。
関西は白い部分はほぼなく、全部青い。
名古屋はちょうど半分。
白い部分と青い部分ともに使えるようになっている。
(東日本や西日本のものよりも長い状態で
売られているといってよいかもしれぬ。)
青いねぎもうまいし、白いねぎもうまい。
いいとこ取りで、おもしろい。
つゆの味。
濃い、と書いているが、どういう味か。
以前に、この[山本屋本店]の味を再現しようと
試行錯誤したことがあった。
むろん、赤味噌=八丁味噌ベースなのであるが、
これであると、鰹で出汁をちゃんと取っても、
ただの赤だし味噌汁のうどんになってしまう。
そんな単純なものではないのである。
おそらく、味噌は八丁味噌以外にも普通の
米味噌を合わせていると思われる。
これに、鰹などの出汁はもちろん、名古屋お得意の
鶏系の出汁なども使っているのではないかと思われる。
まあ老舗の秘伝がいろいろありそうではある。
ご馳走様でした。
おいしかった。
そうである。
[山本屋本店]の味噌煮込みうどんを含め、
名古屋圏の八丁味噌+αの食文化、傑出しているといってよい。
岡崎発祥のその歴史を含め、重要無形“食”文化財として
認定してしかるべきであろう。
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