浅草・洋食・モンブラン・出前
3月4日（日）夜
さて、日曜日。
持ち帰った仕事とこの日記書き。
夜は出前を取ることにした。
出前というのはよい。
ケータリングやデリバリーではなく、
あくまでも、出前、で、ある。
だが、ピザなどのデリバリーは増えたが、
子供の頃からあった、いわゆる出前をしている
飲食店は少なくなっているのではなかろうか。
出前とは、個人営業のそばや、鮨や、ラーメンやといったところ。
30年、40年前には下町といわず、山手や郊外でも、
東京中どこでも近所に受ける店があったと思われる。
私自身、結婚して住んだのが世田谷の松原（明大前）。
これが20代。その後、30代が葛飾の東四つ木。
そして、40代以降、今の元浅草。
20代、30代の頃はあまり出前を取るということを
そういえばしてこなかった。
なかったのか、知らなかったのか、思い出せないが
ほぼしていないように思う。
この元浅草に住むようになって、覚えた、ということ
だったのかもしれぬ。
ポストに、ちらしやメニューが入れられて、やはり存在を知る。
そして取るようになった。
明大前や、四つ木の頃はやはり出前をしているところが
多くはなかったのかもしれぬ。
以前からなかったとは思えぬので、やはりあまり積極的には
出前を受けていなかったのかもしれない。
この元浅草界隈も、私が引越してきた15年ほど前は
個人営業のそばや、鮨やは町内（旧町）に一軒程度はあったと
思うが、一軒減り、二軒減り、今はほぼなくなったと
いってもよい状態である。
このあたり下町は、出前という習慣は山手よりも
濃かったのではなかろうか。
サラリーマン家庭ではなく、自営で商売をしている家、
家族経営の工場、居職（自宅で仕事をする）の職人さん。
こういった家々である。
（同時に、お惣菜を売る商店街も然り。元浅草よりも
南の方だが鳥越のおかず横丁というのは、お惣菜店が多い
というので、有名であったが今はかなりさびしくなっている。）
この界隈はそれでも昔から住んでいる人々がまだ
あったと思うのだが、やはりここ10年、20年でマンションに
変わっていったということか。
前にも書いていると思うが、池波先生は元浅草（永住町）の
育ちで、近所の洋食やから出前を取るのが愉しみであったと
書かれている。
山手や郊外では洋食やの出前というのは、そう多くはないと
思われる。やはりこれは下町の特徴であったろう。
今、家では出前を取れる洋食やが二軒あって、重宝している。
一軒は、稲荷町の［ベア］。
だが、こちらは日曜休み。
もう一軒は、少し遠いが浅草雷門通りの
ハンバーグで有名な［モンブラン］である。
［モンブラン］の方は日曜もやっていて
ありがたい。
メニューも手元にあるので、TELでオーダー。
1時間といわれたが、40分ほどで届いた。
内儀（かみ）さんと合わせて四品頼んでみた。
洋食やの出前というと［ベア］もそうだが
洋皿にプラスチックの丸い輪っかをのせて届けるのが
昔の形だと思うが、ここはプラスチックの容器に入ってくる。
和風ハンバーグ。
ビーフカツレツ。
これが私。
イタリア風といっているトマトとチーズのハンバーグ。
かきフライ。
これが内儀さん。
味違いのソースのハンバーグを売りにしているが
洋食やらしいメニューも揃えているのである。
私の、ビーフカツレツはデミグラスソース掛け。
薄めの肉でさっくり揚がって、さっぱりしたソースで、うまい。
和風ハンバーグは和風の方はおろし、だと思うのだが、
ちょっと時間がたっているからか、水分だけ
になっているが、ぽん酢しょうゆ風の味はちゃんとついている。
付け合わせのパスタもボリュームがあって
腹一杯。
うまかった。
家で洋食の出前が取れるのはまったくありがたい。
しかし、デリバリーではなく出前。
やはり滅びつつあるのか。
この界隈でも鮨やはまだ出前をするところが
数軒ある。
また、日本堤の老舗天ぷらや［土手の伊勢屋］の
暖簾分けの［蔵前伊勢屋］も出前をするので、
ありがたい。
昨日書いた麻布［野田岩］も出前をしていたようだし
そう、昔はうな重の出前は、鮨同様、いいお客がきた時の
定番であった。
先に書いたように、店自体が減っているが、
その本当の原因は家で取って食べる、という習慣自体が
なくなりつつあるのであろう。
食べるのであれば、外へ出る。
我々の世代では友人宅などへ遊びに行くというような
来客ということもあまりしなくなっている。
やはり迷惑をかけるし、双方面倒、と思うように
なってきた。
飯を食うのであれば、外の方が気楽でよい。
しかし、チェーンのデリバリーピザなどよりも
よほど味があるし、うまい。
よい習慣だったと思うのだが、我々自身が、
招いてしまった結果であるのは、ちと複雑な思いである。
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