断腸亭料理日記2018

断腸亭、京都へ その9

断腸亭の京都。

修学院離宮にも近い北白川の曼殊院門跡。

もちろん、庭。

ここは池はなく、石庭の、いわゆる枯山水。

江戸期に入っており、遠州以後のものであることを
また、頭に置いておきたい。(ただ遠州没後で関与の
可能性はないよう。伝遠州でもあったようだが。)

庭はこの写真の右、大書院と左の小書院という主たる
二つの棟に面して庭がある。
中に二つの植え込みがあり、右の松のある方が鶴島で、
左が亀島。

鶴島の松は五葉松。
一株から垂直に立っている幹と横に出ている幹があって
これを鶴に見立てている。

こういう庭の場合どこの場所からどのくらいの高さの視点で
見るのか、ということが大きな問題である。

東寺の庭のところでも書いたが、どこでどのアングルで写真を
撮ると一番きれいかというのを探したが、ここでもそれを
探してみた。

右側の大書院の縁先から立って松を見る。

右側の横に張り出した幹中心に撮ってみた。
このアングルも、ありなのだが
近いので松全体の様子はわからない。

さらに松の根本付近、近い位置に立って、撮ってみた。

まず、この五葉松は樹齢400年という。
この庭ができてから350年ほど。その当時と同じ松なのか。
途中で代替わりをしているのか。
わからぬが、松の樹皮の表情が実によい。
そして、いくつか置かれた根本の石の表情。
手前の丸く刈り込まれているのはやはりつつじのよう。
これもリズム感を生んでいる。
つつじの花が咲いているとまた違っていよう。

もう一つ、近寄らないと気が付かないのだが、
おわかりになろうか、半分隠れている灯篭。
これが松の木の根本に寄り添うようにちょこんと
顔を出している。
全体像がわからないのだが、この形の灯篭はキリシタン
灯篭といって特殊なものらしい。
中でもこれは曼殊院型といわれて、今も灯篭の一つの類型に
なっているよう。キリシタン灯篭は桂離宮などにもあり、
いわゆる遠州好みの灯篭といい、名前の通り、ヨーロッパ文化の
影響があるものらしい。

とにもかくにも、この場所のこのアングルだけでも実に
美しく絵になるように計算されているように見える。

松の左側。

撮るには撮ったが、鶴島と亀島の間で、このアングルはイマイチ。
やっぱりどこを撮ってもよいわけでないのである。

亀島側。

真横というのであろうか。
これは絵になる。
ちょっと勾玉型にも見える。

小書院とともに手前の白砂の文様が入るように撮ってみた。

勾玉の凹部分に合わせて小書院側に接して別の植え込みが
造られている。
ちなみに、アングルは縁側に座って撮っている。
このアングルわるくはないが、最良ではないよう。

角にきて、文様から。

こちらの方がよい表情かな。
この場所のこのアングルだとわかるのだが、この画面の右奥に
立った石組みが見える。これは滝を模しているらしく、白砂は
この滝から流れ出ているという見立てになっているよう。

小書院側の植え込みにはこんな手水鉢が隠れていた。

雨が降っているので水面に表情が出ている。
ちょっと変わった形ではないか。
梟(ふくろう)の彫刻が施されており、梟の手水鉢というよう。

小書院の裏側にも庭。

紅葉はきれいだが、こちらの手入れはメインの庭よりも
力が入っていないのか、こういうものなのか、
イマイチに見えるが。どうであろうか。

さらに奥には八窓軒茶室という茶室があってその前の庭。

ここもなかなかよい。

黒っぽい細い竹がシブイ。

合わせて茶室の庭らしい設(しつら)えといってよいのか。

視線を上に上げてみた。

これもよい。

さて。
もう一か所、建物の間の坪庭。
これがまた、秀逸ではないか。

手水鉢、竹の柱、白砂の文様、苔、石、散り残った小さな紅葉、
そして、灯篭。
テキトウのようにも見えるが、むろんそんなことはない
のであろう。テキトウを計算して造っているというのか。
毎日、毎日、庭師が文様をつけるなど、手入れは欠かさない
のであろう。小さな紅葉もまるで盆栽のよう。

そして、この灯篭、渋い。渋すぎるではないか。
大きさ、形。このセンス、で、ある。
どういう発注をして、こういう灯篭ができるのか。

別のアングル。

外の紅葉も入れてみた。
これもまた、よいではないか。

 

 

つづく

 

 

 

曼殊院門跡

 

 

 

 

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