断腸亭料理日記2018

浅草・洋食・ヨシカミ

4月16日(月)夜

さて、月曜日。

少し久しぶりであろうか、浅草六区の
洋食や[ヨシカミ]。

6時台、店に入る。

ウイークデーの夜は比較的すいている。

一人、といって、カウンター手前左の壁際の
端っこに座る。

座ると、目の前にスッとメニューと水の入ったグラスが置かれる。
カウンターのどこに座っても同じなのだが
目の前のカウンターの向こう側、調理場で働いている
料理人が、店に入ってきたお客の動きを見て、
間髪を入れずに、差し出す、のである。
これが気持ちがよい。

お客が入ってきて、どう対応するのか、
これが、流れるように素早い店というのは
そう多くはないが、東京にはある。

思い出すと、目黒のとんかつや[とんき]
あたりは典型である。

[とんき]は芸術的といってもよろしかろう。
最初だけではなく、店に入ってから、帰るまで、
実に素早くそれもこまやかに対応してくれる。

メニューを開くのであるが、こちらも既に
なにを頼むのかは、決めてある。
メニューを開くのは、頼むものが、
ちゃんと存在していることの確認のためである。

瓶ビール中瓶とメンチカツとチキンライス。

チキンライスは、私の[ヨシカミ]での定番。
もうなん年もここにきて、チキンライスを食べ続けている。
チキンライスは私の大好物の一つであるが、
ここのものは、下町らしい濃い味で、ここで
チキンライスを頼まないということは、私の
選択肢の中には存在しない。

チキンライスのみというのも含めて、
もう一品はなににするのか、というのが
いつもの課題。

多少軽くしたいときには、コンビネーションサラダ。
ここのコンビネーションサラダは、すっぱすぎない
おそらく自家製のマヨネーズでしっかり和えられたもので
うまい、のである。

今日は、そこそこちゃんと食べたいと考えて
メンチカツにしてみた。

ビールがくる。

なにもいわないと、ビールはスーパードライ。
浅草はやっぱりアサヒのお膝元。
スーパードライが似合う。

お通しが、なんというのであろうかこれ、
粒の揚げ餅、か。

いつもこれ。
おそらく業務用のものだと思うのだが、
ここ以外では見たことがない。

ビールを呑み、調理場の様子を眺めながら、待つ。

きた。

チキンライスから。

チキンライスも呑みながら食べるので、どちらが先でも
かまわない。

一口、二口食べていると、

メンチもすぐにきた。

肉やのポテトコロッケのような小判型が二つ。

かかっているのはデミグラスソース。

チキンライスと位置を入れ替えて、
メンチを先に片付けることにする。

キャベツの千切りには別にソースをかけて
食べ始める。

ここのメンチはハンバーグを揚げたものかもしれぬ。
ナツメグがほんのり香る。
肉のうまみもたっぷり。

デミグラスソースは苦味が少ない軽めのもので、
私には食べやすい。

うまい、うまい。
ばくばく食べる。

しかし、メンチカツというもの、いつ、どうして
できたのであろうか。ふと疑問に思った。
由来というのか、成り立ち、である。
ハンバーグの生地に衣をつけて揚げたもの
のようには思えるが、果たしてそうなのか。

メンチカツというのはフレンチなどにはあるのであろうか。
なにかなさそうではある。日本で生まれたものか?。
そしていつからあるのか。

では、ハンバーグは?。
ハンバーグは戦後、帝国ホテルの村上シェフが、
NHKの「今日の料理」で取り上げて、
全国津々浦々、家庭にまで広まったと聞いているが
それ以前はどうだったのか。
戦前から洋食やには定番であるものであったのか。

ちょっと調べたら、メンチは明治末に銀座[煉瓦亭]で
ハンバーグを揚げたものとして生まれた、とある。
(日経トレンディ―)

これ、出典、根拠がわからぬが、本当であろうか。
ではハンバーグはそれより以前?。
ちょいと調べても意外に諸説あって、定まらない。
(どちらも日本独自に発達してきたものと考えてよさそうである。)
これも私の宿題とさせていただく。

ともあれ。

好物のチキンライスも平らげ、
ご馳走様でした。

腹一杯。






ヨシカミ




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