断腸亭料理日記2017

カジバタ

実際の日付けからまだずれているのだが、
書いておきたいもの。

5月15日(月)

帰り道、例によって、御徒町の吉池に寄る。

特段のあてがあったわけではない。

なにか目ぼしいものがあれば、というくらい。

魚やの店先を見てまわるというのは
愉しいことである。

スーパーの魚売り場でもまあよいのだが、
できれば、吉池のような大きなところ。

本当は小さくても、河岸に買い出しに行っている魚やであれば
充分なのではあるが。

毎度書いているように思うが、一般的には、スーパーの
魚売り場というのはダメである。

吉池にしても、ちゃんとした魚やの店頭というのは
旬がわかるから、愉しいのである。

春になると白魚が出てくる、
駿河湾の桜海老も並ぶ。

また、今どんなものがよく獲れているのか、
獲れていないのか、日本近海の漁の状況もわかる。

スーパーでもそういう品揃えをしているところはよいのだが
大方は、よく売れるものに品揃えを決めて市場を通さず、
また市場を通してもその日の相場の最高値で買うという
契約をして仕入れる。つまり年がら年中同じものしか
置いていない。
これでは旬もわからなければ、なにが獲れているのか
いないのかも、わかりにくい。
これは愉しくない。

さて、今日は?。

生の桜海老も白魚もある。

桜海老は値が上がっているのではなかろうか。
この前、NHKでやっていたせいか、ほぼ店頭から
なくなっていた時期もあった。

白魚はもう時期も終わり。

ここのところ、旬の鰹は多くみかけるが、やはり鰹刺しは
鮨やでプロの手を経たものがうまい。鮮度と拵えがものをいう。
まるで別物。基本、あまり吉池といえども買わないことにしている。

あとは?。
鯵、鯖、鰯、、、
今一つ目ぼしいものがないか。

これはそれこそ年がら年中あるが、生のかじき。
ちょっと安くなっている。
宮城産、気仙沼あたりか。

カジキのバタ焼き、カジバタにしようか。

カジバタは人形町の洋食や[小春軒]でよく食べているが、
あの絶妙な味加減が再現できないでいる。

これだけでは、さびしいか。

もう一つ、ちょいとつまむもの。
めかぶと、小柱。
めかぶは1パック200円ほど。
小柱も北海道産ではないもので、一枚300円ほど。

小柱は柱わさびだ。

帰宅。

さて、カジバタ。

なん度か作っているが、あの味が出ないのである。

おそらく衣が付いてる、ムニエル。
ただ、しょうゆ味。

当初は小麦粉をふって、バターで焼いて、
仕上げにしょうゆをかけて焼いてみた。

しかし、これでは表面はパリッとは仕上がらない。

それならばと次は、しょうゆをまぶし小麦粉をふって
焼いてみた。
これは、どうか。
まぶすくらいでは、しょうゆ味が頼りない。

と、いうことで、今回は反省を生かし、ちょっと長く
しょうゆに漬けてみよう。
酒も入れず、濃口しょうゆそのままを振りかけて、置く。
30分。

そして小麦粉をまぶし、バターで両面焼く。

どうであろうか。

こんな仕上り。

小柱は洗って出すだけ。

柱わさびというのは、まあ、乙な酒の肴、である。
もともとは、池の端の[藪蕎麦]で出していたものを
真似して家でも食べている。
もちろん、こういうところの小柱は、本州のものではなく、
北海道のもので、味は同じだが、かなりの大粒。
ほぼ別のものといってよいくらいであろう。

さて、カジバタ。

味はどうか。

うん!。
だいぶよくなっているのではなかろうか。

しょうゆの味はちゃんと効いている。
これでほぼ、カジバタらしい味になっているのでは
なかろうか。
少ししょうゆに漬けておくだけで、たいしたことはしていないが、
おそらくこれで一先ずの完成ということでよろしかろう。

カジキという魚、東京などでは伝統的には
あまり食べないものであろう。
冷凍ものも含めて、よく出回っているが、
あまり買ったことはなかった。

このカジバタは、うまい。
欲をいえばバターのこってり感がもう少しほしいが
これは課題にしよう。

カジバタ、私の手のかからない定番料理にしてもよろしかろう。

 



 

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