断腸亭料理日記2017
6月10日(土)
引き続き、鳥越祭。
土曜日の連合渡御。
鳥越神社の氏子町というのはかなり広い地域に
渡っている。
南は浅草橋あたりから、北は浅草通りを
渡ったところまで、南北に長い。
連合渡御は氏子町すべての町会神輿が
一緒に担ぐのではない。
通常は、北部とか、南部とか、、?
(他の区域は私はわからないが。)
七軒町は北部に属しており、この範囲は春日通りの北の
各町。
七軒、永住、阿部川、菊屋橋、南松山、北松山、栄久、
三筋北の八か町。これを北部八か町と呼んでいる。
これに北部には志ん猿(新猿)町が提灯のみの参加。
また南松山は数年前から、本社神輿の渡御はあるが、
町会神輿の渡御はなし。
まあ、それで実体とすれば七か町の神輿の連合渡御ということになる。
今、提灯のみと書いたのは、神輿を先導する一対の
提灯があるが、この町の名前の入った提灯のみで
連合渡御の列に入るということである。
八ヶ町の中を担ぐのだが、コースは毎年異なっている。
むろん八か町の代表の方々で相談して決めるのであろう。
まずは自町内から担ぎ始めて、集合場所の通りに
一列に並ぶ。七基もの神輿が並ぶのは壮観。
一町あたり、担ぎ手にギャラリーも入れれば
100人にはいかぬかもしれぬが、7〜80人以上にはなろう。
ここで最初の休憩。
この時は、鳶頭が神輿に鈴を取り付けていた。
列の順番が決まっているようで、先に自分の位置に着いたところは
神輿を置いて待ち、脇を他の町の神輿が通って行く。
(この紺の半纏は永住)
全基が集合すると決められた十字路に各町の先の提灯が集まり、
丸く並び、代表が挨拶。
再び担ぎ始め。
元浅草の真ん中を南北に貫く、左衛門橋通り。
最初と同じ程度の距離を担いで休憩。
その間に、提灯を取り付け、灯りを入れる。
これはなぜか鳶頭ではなく、睦(むつみ)の方。
暗くなって、灯りが入ってからが、
鳥越祭の見せ場、で、ある。
神輿の後ろに黒い台が見えると思う。
ウマといっているが、神輿を置く台。
鳶の衆が管理をしているのだが、これはなかなかの技。
神輿が担ぎ手によって、上がる。
その瞬間に、この台を神輿の下から持ち上げて、ひっくり返し、
後ろに下がるのである。
むろん神輿の後ろにも担いでいる担ぎ手がいて
さらに、控えてついている担ぎ手もいる。
この人混みを縫って、後方に下がるのである。
人混みの中なので、ほぼ外からはわからないのだが、
技、で、あろう。
大通りに出る。
ここは新堀通りと呼んでいる、合羽橋道具街の通りの南側
で、ある。新堀というくらいで関東大震災前までは堀であった。
完全に暗くなった。
新堀通りを東に越えて、今の町名では寿一、二丁目。
町会名(旧町)では栄久町。
ここは通り一本で東側は三社様の氏子で、三社祭。
西半分は鳥越祭。
最初同様に各町代表と提灯が丸く輪になって、氏子代表の
方の挨拶と、手締め。
お疲れ様でした。
皆さん、無事に帰りましょう。
明日の、本社神輿の渡御は頑張りましょう。
毎年のことだが暗い中のセレモニー、なかなか盛り上がる。
ちなみに、この長い竹の竿についた提灯は高張提灯という。
江戸の頃は武家の使うものであったという。
白鴎生はここまで。
お疲れ様でした。
白鴎高校があるお蔭で、七軒町は町として面積は狭い。
だが、彼らは、連合渡御に毎年担ぎ手として、参加してもらえる。
都立高校なので、おそらくずっとここに居てくれて
新しい担ぎ手を供給してもらえる。
高校生が(イベントではなく)地元の正しいお祭に参加する
というのは、やはり下町ならではのことであろう。
今の白鴎高校は、旧制時代は府立第一高女。
浅草生まれの女優沢村貞子さんなどは卒業生。
(私も、府立第五高女〜都立富士の卒業生なので、とても
親近感がある。)
ともあれ。町に帰るために、一基で再び担ぎ始め。
先ほどの神輿をのせる台、ウマ。
こうして、台車に載せて運んでいる。
近所とはいえ、なかなか距離がある。そして、一基なので暗い夜道、
ちょっと寂しい。新堀通りを渡り、元浅草に入り、左衛門橋通りも渡り、
やっと七軒町に戻ってきた。
角を曲がって、神酒所前、帰還。
神輿を持ち上げる。サスというが、これは古い江戸弁。
よぉー。しゃ、しゃ、しゃ。しゃ、しゃ、しゃ。しゃ、しゃ、しゃ。しゃ。
よぉー。しゃ、しゃ、しゃ。しゃ、しゃ、しゃ。しゃ、しゃ、しゃ。しゃ。
よぉー。しゃ、しゃ、しゃ。しゃ、しゃ、しゃ。しゃ、しゃ、しゃ。しゃ。
各地で微妙に違うようだが、これが鳥越の三本締め。
頭に、都度、よぉーが入るのが特徴である。
ともあれ。
お疲れ様でした。
明日は、いよいよ本社神輿渡御。
つづく
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