断腸亭料理日記2017

真鱈子と白滝の煮付け

2月6日(月)夜

さて。

月曜日。

帰り道、なにを食べようか、考える。

とんかつでも食べて帰ろうか、というのが一案。

昼は風は強かったが、かなり温かくなって、コートがいらない
くらいであった。

やはり、春は近い。

夜になってさすがに寒くなってきたが、
ひところの「鍋!、鍋!、おでん、おでん」という
ほどではなくなった。

とんかつもよいのだが、念のため、吉池をのぞいてみようか。
なにかあったらそちらでもよかろう。

対面コーナーは店仕舞いモード。
生の鰊(にしん)、鯵、鰯。

鰊というのは不思議な魚である。
生よりも、干物、あるいはカチカチになった身欠き鰊、
鰊漬け(北海道などの名物だが、鰊の麹漬け)などの
加工したものの方がうまい。

子持ちのいいだこ、一杯500円。
桜煮は、うまいのだが手間がかかりすぎる。
ウイークデーにはとても無理である。
そのうえ500円は高かろう。

パックのコーナーは?。

平目のあら、半額で500円ほど。
ちょっと魅力的。
つゆにしても、煮てもうまそう、、。

真鱈子がたくさんあって、皆半額。
これはよい。

840円の半額でいこうか。
しらたきと甘辛く煮たのは、うまいぞ。
その上、簡単。

それから。

ほたるいか。
産地が兵庫で加工が富山と書いてある。
兵庫だから、瀬戸内でも獲れるのかと思うと、
日本海側の但馬地方、浜坂というところも富山湾同様名物のよう。
ただ加工は、富山に持っていくのか。
初物といってよいだろう。
まだ高いが、縁起物。

なんだか、酒の肴ばかりでメインっぽいものがないが
まあよろしかろう。

勘定をして、地下へ降りて白滝。
真鱈子の量が多そうなので、2パック。
買って帰宅。

こんな感じ。

生の真鱈というのは、私のような東京の者には
子供の頃にはあまり馴染みのある魚ではなかったと
思われる。

全国的に流通していたのは、乾物であろう。
カチカチの棒のようになった、棒鱈。
海老芋(里芋の類)などと煮て、京料理などには
よく使われている。
あるいは三枚におろして干したすきみ、というのもあった。

また、塩蔵もので干していないものも
出回っていたかもしれぬが、我が家の食卓には
あまりのぼらなかった。

真鱈が獲れるのは、山陰以北の日本海と、茨城以北の太平洋で、
やはり生のものは東京にはあまり流通していなかったので
あろう。

庄内、秋田、その他東北地方などでは故郷の味という。

特にこの白滝と真鱈子を煮たものは、冬の家庭の味として
定番とのこと。
真鱈子は白子と比べれば安く、スケトウダラの子、助子(いわゆるたらこ)
よりも安い。その上、ただ甘辛く味濃く煮ればよいので
手もかからない。

ほぐれてしまうので、軽く水洗いし、切って、鍋へ。
白滝も、灰汁抜き済みのものなので、洗って鍋へ。

水、酒、しょうゆ、砂糖。

やはり濃いめがうまかろう。

玉子をほぐさないで花のように開いた状態に煮る、
というのもあるが、玉子の袋がかなり大きいので、それは無理。
全部ほぐしてしまう。

軽く煮詰めながら、煮る。

簡単、簡単。

10分程度。

白滝に色がついてくればOKであろう。
やはり大量にできてしまった。

盛り付け。

ほたるいかは洗うだけ。

わさびじょうゆ。

ビールを抜いて、食べる。

真鱈の子というのは、特にくせもない。

うまいものである。

腹も減っていたが、バクバクと食べる。

白滝と煮るというのは、誰が考えたのであろうか。
よくできている。

ほぐれてしまった玉子というのは、実際には
食べずらいのだが、白滝にちょうどよくからむ。

また料理とすれば嵩(かさ)が増やせて、腹にもたまる。
酒の肴だけでなく、むろんご飯のおかずでもよろしかろう。

東北の冬の味。なかなかのすぐれもの、である。

 




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