断腸亭料理日記2017

チリコンカン&

ケイジャンチキン その2

さて、夕方。

ケイジャンシーズニングが届いた。

GABANのもの。

袋を開けて、香りをかいでみると、なるほど、
やはり“あの香”、が、する。

実は、この系統の味のものを食べたい、というのは、
もう一つ、きっかけがあった。

数日前にやっていたNHKの「世界入りにくい居酒屋」。

舞台はマイアミでキューバからの移民なのか、
亡命移民の人がやっている居酒屋。

料理はキューバ料理。

鶏肉になんだかスパイスを塗って焼いたものが出てきた。

場所的には近いところだが、ジャマイカにもやはりスパイスで
味をつけて鶏を焼いた、ジャークチキンというのがある。
食べたことはないが。

きっと、ケイジャンにもあるだろうと、また、調べてみた。

すると、あった。

その名も「ケイジャン・チキン」。

そのまんま。

やっぱりあるのである。

どうも、届いたシーズニング(+おろしにんにく)を
まぶして染み込ませ、オーブンで焼けばよさそうである。

深夜、作ってみる。

鶏もも肉を解凍。

適当な大きさに、切る。

シーズニングにはにんにくも入っているようなので
にんにくは省略。

シーズニングをまぶす。
ちなみに、シーズニングなのでスパイスだけではなく、
塩(ついでに味の素的なもの)も入っている。

濃い方がうまそうなので、念入りに。

1時間ほど置く。

焼くのはアルミホイルを敷いて、オーブントースターで。
200℃、20分という。
家のものは温度管理ができるので。

いい感じになってきたので、15分程度で終了。

こんな感じ。

予想通りの味。

シーズニングなので、まぶすだけで焼ける。
調整がいらない。

逆にいえば、お仕着せの味で、おもしろ味がなく、
カスタマイズがきかないということになるが。

ともあれ、出来上がってもこれもやはり“あの香”がある。

だが、ケイジャン・チキンを食べても、
結局、“あの香”の正体はまだ不明、のまま。

成分の内の家にないスパイスを買ってきて、特定するしか
なさそうである。

さて、最初の疑問に戻ろう。

ケイジャン、クレオール、メキシカンの関係、
歴史のようなもの、か。

ケイジャンはCajun、クレオールはCreole。

これらはなにか。
北米のアメリカ合衆国建国以前の歴史にさかのぼるのだが、
私も素人であり、長く、まったく複雑なことになるので、
詳しくは今日はやめよう。
ケイジャンとクレオールも定義があり微妙な違いがあるようなのだが
これもやめておく。

どちらにしても、ニューオーリンズなどルイジアナ州付近にいた
フランス系の人々と彼らの料理、というのがもともとのルーツ。

Asahi.com 食

彼らの料理は黒人の料理人によって作られていたので、
スパイス使いに優れていたという。

で、唐辛子の辛みを加えるなど、おそらく隣に入植したスペイン人や
その後のメキシコ料理の影響もあるのであろう。
そういったものがベースになって出来上がってきた料理と
いってよさそうである。

ジャンバラヤ、や、チリコンカンなどはその過程で
アメリカのこの地方で作られてきた料理。

そしてその間に、ちょっと辛めで“あの香”のある
トマトソースが出来上がっていった。
これが、アメリカでポピュラーな「チリソース」。
(ここでいっている「チリソース」はタバスコのような
唐辛子から作った強い辛みと酸味のあるソースのことではない。
ホットドックなどにも使う多少辛めのトマトソースのことである。)

メキシコ料理も互いに影響し合ってきた兄妹の料理という関係。
ただ、注意をしたいのは“あの香”はメキシコ料理にはあまり登場しない。
あくまでアメリカの(ケイジャンなどの)発祥のものだと思われる。
(メキシコには東と西に計二度ほど行ってローカルの料理を
食べているので間違ってはいないと思う。)

メキシコの本場のタコスではなく、アメリカにあるメキシコ風料理である
アメリカのタコスも“あの香”のある「チリソース」を使っている。
そして、その派生である日本の沖縄に入ってきたタコライスにも
“あの香”がある。おそらく米軍経由で。

アメリカではスタンダードな味といってよいのであろう。

そこから日本でも「辛めのトマトソース」=「チリソース」のレシピとして
定着しモスバーガーのトマトソース、アメ横のケバブのソースなどにも
“あの香”が付くようになった。

“あの香”から始まった考察と仮説だが、あっていようか。
また皆様に伝わったろうか。
香というのは、文字に書けぬので不安ではある。

私の宿題は“あの香”の本体の追及である。
できれば、市販のシーズニングは使いたくないではないか。



 

 

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