断腸亭料理日記2017

アヒージョ

2月4日(土)夕〜

焼売が食いたくなった。

焼売は、私のかなりの好物かもしれぬ。
餃子よりも好きである。

横浜崎陽軒のものがスタンダードとして、ああいう
小粒のものも好きなのだが、それこそ“町中華”で大ぶりのものが
あるが、あんな風に大きくて肉々しいというのか、
肉の旨みにあふれているのがよい。

よし、作ろう。

思い立って、ハナマサへ買い出しに出たのだが、
同時にアヒージョも食べたくなった。

アヒージョが食べたいというのは、まあ、早い話が
呑みたい、ということなのではある。

焼売用の豚バラと焼売の皮、同時にアヒージョ用にぶなしめじと
フランスパンを買って帰ってきた。

焼売を作ろうとするとかなりの手間がかかる。

どうも早く呑みたいというのが勝ってしまった。

アヒージョというのはオリーブオイルの料理で
スペイン料理。
さすがに、焼売とは合わない。

焼売は明日にして、早くアヒージョを作って呑もう。

アヒージョというのは、考えてみると
不思議な料理、で、ある。

オリーブオイルに、にんにく、塩。
極端なことをいえば、これだけでも成立しそうである。

オリーブオイルを熱くし、にんにくの香りを移し、
あとは塩が入ればOK、ということである。

だが、たいていはきのこ類を入れる。

きのこ類からは旨みが出る。
香りもよい。

塩味と旨みを同時に加えるのであれば、
アンチョビを入れてもよい。
ただ、これは具というよりは、味付けであろう。

一般には、小海老、貝類その他、魚。
肉類でもよい。

野菜を入れたものをあまり見ないのは
水分が出るからか。
あるいは、揚げ煮になるので、加熱しすぎると、
食べられなくなる、ということか。

具がなくても成立するのは、オイルをフランスパンなどに
つけて食べるのが主なスタイルだからであろうか。

いや、本来はバルなどのタパス、小皿料理なのであろう、
やはり酒の肴で、ちょいと小海老やきのこを楊枝で刺して
つまむのか主なスタイルになるのか。

フランスパンにつけてでもむろん、酒の肴として
大いに成立するが、これを主なスタイルにしているのは、
私だけかもしれぬ。

わからぬが、具などなくとも、
いくらでもパンが食べられてしまう。

さて、作る。

まあ、作る、というほどのことはない。

土鍋にオリーブオイルを張る。

量は、ぶなしめじに火が通って嵩(かさ)が小さくなったときに
ヒタヒタになるくらい。

ぶなしめじのいしづきを切ってほぐす。

土鍋に点火し、しめじを1パック全部入れる。

味付けは、ニョクマム。

それもたっぷり。

私はこれに決めている。

アンチョビというのはかたくち鰯の塩漬けであるが、
醗酵食品でもある。

これがいけるのであれば、同じく魚介類の
塩漬け+醗酵食品の、日本の塩辛でもよい。

私自身は、パスタににんにくに加えて、いかの塩辛や、
鰹の塩辛の酒盗を入れる。

塩辛がよいとなると、塩辛の主成分である、
いわゆる魚醤でもいける。
つまり、東南アジアの魚醤、ニョクマム、ナンプラーといった
類いである。

実際に塩辛や魚醤は、にんにく+オリーブオイルと
とても相性がよい。
アヒージョは酒の肴なので、塩味は濃い方がよい。
それで、たっぷり。

味見、OK。

しめじがしんなりすれば出来上がり。
仕上げに胡椒を軽く振る。

塩辛や魚醤は過熱をすれば、匂いはほぼなくなる。

フランスパンは切って軽くトーストする。

ビールを開けて、食べる。

ちょっと塩辛いくらいが、やっぱりうまい。

そしてただの塩ではなく、ニョクマムは
正解、で、ある。
ニョクマムのうまみと、しめじのうまみ。

オリーブオイル+にんにくもうまいのだが、
この二つが加わり、黄金ではなかろうか。

いくらでも食える。

 


明日こそ、焼売。


 




断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 |


BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2016