断腸亭料理日記2016
10月23日(日)第二食
この土日は、疲れが出て休み。
年のせいであろう、子供の頃からアレルギーもあって
季節の変り目は様々な不調が出るのだが、段々寝込むように
なってきた。
むろん仕事は「休み」なのだが、外出もなにもしない、
という意味である。
午後、かつ丼が食べたくなった。
先日ポークジンジャーにした豚ロース肉が、冷凍庫にあることを
知っていて、のことではある。
そういえば、ここのところかつ丼は食べていない。
かつ丼など、自分で作る人間なんというのは、そうは多くあるまい。
かつを揚げる、のであれば、かつ丼にしないで、
とんかつとして食べるのでは普通であろう。
とんかつは、天ぷら粉と玉ねぎ、揚げ油。
ご飯は冷や飯が冷蔵庫にある。
あとは玉ねぎに玉子、煮込むつゆは桃屋のつゆ。
すべて家にある。
よし、作ろう。
まずはかつを揚げる。
揚げ鍋に揚げ油を用意。
先日、ポテトコロッケを揚げたのはラードであった。
とんかつとして食べるのであれば、ラードだが、
かつ丼にするのであれば、サラダオイルでよろしかろう。
軽く予熱をしておく。
ロース肉を二枚レンジで解凍。
次に筋切り。
先日のポークジンジャー同様、反り返り止めに、
脂身に切れ込みを入れておく。
片面塩胡椒。
衣付け。
両面天ぷら粉をまぶす。
玉子は二枚なので、一つで足りるだろう。
容器に全卵一つを割りほぐし、ここにも天ぷら粉を少し入れておく。
パン粉も容器に広げてスタンバイ。
ロース肉に串を刺して玉子をくぐらせ、パン粉へ。
上にもパン粉をふりかけ、側面にはスプーンでつける。
最後に、上からギュッと押す。
OK。もう一枚。
揚げ油の方。
余熱をしておいたが、再度点火し適温に上がるのを待つ。
よいかな。
投入。
両面こんがり揚げる。
切れ込みを入れても、多少反り返ってしまった。
まあ、かつ丼であるし、自分で食べるには分には
なんら問題はない。
切る。
とんかつをこうして、サクサク切るのは気持ちがよい。
玉ねぎをスライス。
全卵を二つ用意。
軽くほぐしておく。
中華や洋食だと、腰を切って、裏漉しまですることがあるが、
和食の場合は逆に腰を切らないのをよしとする。
丼鍋を用意。
玉ねぎ敷き、その上にかつを並べる。
この並べ方、意外に重要ではなかろうか。
今日、ふと気が付いた。
外でかつ丼を食べると、かつの一切れが、脇に置かれていることがある。
お分かりになろうか。
かつの形のまま並べると、入らないことはないが、
左右が目一杯になってしまう。
今まで、こうしていたのだが、これがきれいに丼のご飯の上に
のらない理由ではないか、と。
よくよく考えると、あたり前のような気もする。
今まで気が付かなかったのが、浅はかであったか。
桃屋のつゆを入れ、これだけでは濃いので少し水を足す。
点火し、玉ねぎに火を通す。
同時進行で丼に冷や飯を入れ、レンジで温めておく。
玉ねぎに火が通ってきたら、玉子を投入。
ふたをする。
もうちょいか?。
ちょっと行きすぎ?。
まあよい。
丼のご飯の上に、のせる。
やっぱりそうである。
このかつの並べ方にすれば、なんなくきれいにのせられた。
なんと簡単なことで長年の懸案が解決してしまった。
京都の漬物も出す。
なんだか、玉子が全部固まって、そばやで出前を取ったような
かつ丼になってしまった。
おまけに少しつゆが少なめであった。
だがまあかつ丼、このくらいのものであろう。
とんかつの甘辛玉子とじである。
食べられないものができないわけがない。
十分にうまい。
究極の親子丼は聞くが、究極のかつ丼というのは
聞いたことがない。
どんな肉を使い、どんな揚げ方をし、どんな玉子を使って、
どんなつゆで、誰がどんな風に作っても、こんなもの。
必要十分で、うまい。逆に究極の料理かもしれぬ。
そして、蛇足だがこの丼。
そばやなどのかつ丼用のもの。以前合羽橋で見つけたもの。
他のものではなく、この丼だとやっぱり感じが出るではないか。
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