断腸亭料理日記2016
11月29日(火)昼
さて。
今日の昼は、五反田ご近所の“町中華”[亜細亜]。
五反田駅東口正面だが、間口一間半程度の小さな店。
68年目というから、戦前の昭和5年の創業なのであろう。
今は二代目と三代目でやっている。
今回は少し前のも合わせて二つ。
まずは、タンメン。
先週であったか。
寒くなって、風邪っぽくて温かい汁物が食べたい。
と、なるとうどんそば、ラーメン、なのだが、ラーメンと決める。
だが、いわゆる今の東京のラーメンは、とがったものが多い。
五反田も然り。
近くにあるのは、いわゆる二郎系が二軒、煮干し魚介系、あるいは
中華でも中国人がやっている八角やら花椒やら強めのネイティブ系。
オーソドックスというのか、慣れ親しんだ
中華やのラーメンというのは、やはり影が薄くなっている
といってよいのであろう。
おっと。
そうであった、忘れていた。
五反田にもあるのだが“町中華”のチェーン版というような
ものがあった。
五反田にあるのは[天下一]。
以前のオフィス、市谷には[かわかみラーメン]というのが
あった。([かわかみ]はチェーンではないかもしれぬが。)
あるいはちょっとラーメンに個性を出しているが、例えば[つけ麺大王]、
以前味噌ラーメンでそこいらじゅうにあった[どさんこ]。
その味噌ラーメン系で拙亭近所にもある[熊ぼっこ]
なんというチェーンもある。
これらはラーメンを看板にしているが、長い年月の間に
野菜炒め、レバニラ炒め、広東麺だの、オーソドックス中華メニューを
揃えるようになった。
さらには[餃子の王将][幸楽苑][日高屋]など大手チェーンも
メニューは基本はオーソドックスな中華である。
意外にオーソドックス中華メニューを出すところは多い。
こうなってくるとやはり立ち喰そばの“路麺”同様に“町中華”にも
「個人営業の」という冠を付けなければいけないように
思われる。
またオーソドックス中華メニューというのもこれだけあると
メニュー自体が滅ぶということは、やはり考えにくい。
滅びかけているのはやはり昭和の香りの個人営業の
中華や、ということであろう。
うまい、まずいはむろん店によって違っていようし、
食べる側の好みもある。
すべての“町中華”がうまいのか、といえば、そうでもない
というのも事実、ではあろう。
ともあれ。
五反田[亜細亜]のタンメン、で、あった。
まず見た目。
野菜がかなりシャッキリした印象。
ここの麺は初めて、で、ある。
縮れかげんの太麺。
ちょっともちっとしている。
食べても野菜はシャッキリ。
タンメンのうまさのポイントは、炒めた野菜の旨みを煮出した
スープ。
これも上々。
熱いスープ。
寒い時には、なにより。
これは今日。
実は、天津麺と間違って、広東麺を頼んでしまった。
広東麺。
天津麺というのは、いわゆるかに玉ののったあんかけ。
(かには必ずしも入るとは限らないが。)
ご飯にのせた天津飯も好物、で、ある。
広東麺はほぼタンメンのしょうゆ味あんかけ。
野菜はタンメンとほぼ同じであるが、海老が入っているのが
違いか。
しょうゆの色がついてはいるが、かなりさっぱり。
タンメンもそうであったが、野菜への火の通り具合が
なかなか卓越している。
シャッキリで、
うまい。
また、豚肉もうまい。
やはり、温まる。
ここ、どれも平均点以上、うまい。
かなり上位の“町中華”であろう。
よし。
今度こそ、天津麺だ。
03-3441-7824
品川区東五反田1-13-9
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