9月2日(水)夜
東京の都心にある三州屋という居酒屋を
ご存知であろうか。
神田、銀座、飯田橋の三軒は行ったことがある。
それ以外にも、日本橋、八重洲、新橋。
蒲田にもあるようである。
聞いたわけではないので、わからないが、
どこも白地に墨文字の暖簾を下げ、おそらく
暖簾分けなのであろう。
いつ頃からあるのかもよくわからない。
戦後なのか、戦前からなのか。
いずれにしても、どこの店もクラシックな
居酒屋らしい居酒屋である。
飾り気もなく、白木のカウンター、といった
ところが多い。
あるものは、どちらかといえば魚が主。
刺身だったり、焼き魚、煮魚。
銀座の店は、魚でもフライものがうまかったりするが
神田の店にはフライものはない。
大衆割烹を名乗っているが、どこも焼鳥、もつ焼きの類、
肉類はない。
このあたりはほぼ共通していると思われる。
しかし、三州屋という屋号も珍しいのでは
なかろうか。
三州であるから、三河のこと。むろん三州屋という
言い方は昔からあるが、三河であれば、
サザエさんに出てくる酒やのように三河屋の方が
耳に慣れているようには思われる。
神田の三州屋は二軒ある。
駅に近い、といってもほぼ同じようなものだが、方が
表通りに面していて、駅前店というようで、少し狭い。
本店といっている方が狭い路地にあるのだが、
こちらの方が店は広く、よく行くのはこちら。
5時半すぎ、ちょいと早いが、神田で仕事終了。
ちょっと寄って一杯やって行こうか。
こんな時にぴったりの店である。
6時をすぎると、もう一杯になる。
この時刻であればよかろう。
くもり硝子の白木格子で、外からは中の様子を
窺うことはできない。
白い暖簾を分けて格子を開けると、まだまだカウンターも
テーブルも、小上がりも空いている。
カウンターは縦に、往復2列、都合4列。
白いかっぽう着姿のおかあさん。
なん人?と聞く。
一人というと空いているカウンターに目を向ける。
一番奥が空いていたので、奥に。
先ほど、おかあさんと書いたが、ここは
お姐さんというよりは、おかあさんといった方が
それらしい。
ここには3〜4人のおかあさん。
みんな、いつも忙しそうに立ち働いている。
ご多分に漏れず、捕まえて注文を伝えるタイミングを
見計らうのが、難しい。
おかあさんを捕まえて、瓶ビールを頼む。
先に書いたが、ここには魚系はあるが、フライにはしない。
肉類もほとんどない。唯一あるのは、肉豆腐くらいであろう。
よし、谷中生姜と、壁に書いてある、秋刀魚の刺身を
言ってみる。
と、秋刀魚は今日はなし、とのこと。
じゃ、かわりに、鯵のたたき。
ビールとお通しがきた。
ビールは今時珍しい、サッポロの黒ラベル。
ありゃ、お通しは鰹のたたきだ。
ぽん酢しょうゆで、うまい。
ここのところ鰹はよく獲れているようである。
だが、似たようなものを頼んでしまった。
谷中もきた。
谷中は縦に半分に切られている。
添えられているのは、八丁味噌。
うちではいつも、信州味噌だが、
三州屋、だからか。
鯵のたたきもきた。
あれま。
鯵のたたきには、おろし生姜。
またまた、重なってしまった。
生姜。
少し考えればわかるはず。
まぬけなことであった。
まあ、こんなこともある。
おろし生姜は使わずに、谷中をかじりながら
鯵のたたきを、つまむ。
さて。
食べ終わり、呑み終わり、ご馳走様。
勘定をして、出る。
暖簾の右の方に書かれているのは
「大衆の値」。
やっぱり、この店は戦前からであろうか。
なんとなく、そんな気もしなくはない。
べら棒にうまいかといえば、そうでもなく、
またべら棒に安いかというと、そこまでではない。
しかし、こういうところが落ち着ける、というものである。
千代田区内神田3丁目21−5
03-3256-3507
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