断腸亭料理日記2015

ラーメン・九州じゃんがら・

秋葉原本店から

7月11日(土)夕

さて。

引き続き、土曜日。

作り立てのリエットでビールを呑んで、
ごろごろ。

夕方、やっぱり、どうしてもラーメンが食べたくなり、出る。

前号でも書いたが、ラーメンが食べたくなったきっかけは
金曜の夜のTV。

NHKの「ドキュメント72時間」という番組である。

いろいろな場所にカメラを72時間据えてそこに現れる人々を
追う、という番組。
あまりにも、重くて視られないという回もあるのだが、
そこそこ好きで、よく視ている。

7/10は福岡県久留米の24時間営業のラーメン店であった。

内容がラーメンやだからか、内容的にはさほど重いこともなく、
結果、これはもう、とんこつラーメンが食べたくならずに
おられないわさ、ということであった。

私の住む、浅草、上野界隈で、九州とんこつ、となると
どこへ行けば食べられるか。

東武浅草駅裏の[いのうえ]?。
意外に、そう多くはないのだが、結論は秋葉原の
[九州じゃんがら]になった。

ここはもはや老舗といってもよかろう。
1984年の創業で今年で31年だそうな。

なん度も食べており、安心はできる。

私自身は社会人になってすぐぐらいであったろうか、
赤坂の店で食べたのが最初であったと思う。

新宿の大老舗[桂化]は別にして、この頃はまだまだ、
本場九州のとんこつは珍しかった。

雪駄を突っ掛けて自転車。
元浅草の拙亭から秋葉原までは10分ほど。

夕方の半端な時刻。
比較的すいている。

場所柄、お客のせいか、店そのものも
オタクなにおいがするのは気のせいか。

頼んだのは「ぼんしゃん」。


ここのラーメンはオリジナルの「九州じゃんがら」、
長浜と謳っている「ぽんじゃん」熊本の「こぼんじゃん」
その他つけめん、まぜそば等々今はいろいろある。

NHKのTVでやっていたのは久留米の店で、久留米と、
長浜とも味が違うということであるが、どちらがどうと
食べ分けられるほどの経験値ない。

「ぼんじゃん」も、普通にうまいとんこつラーメンでは
ないかと思う。

食べ終わり、出る。

さて。

やはり東京のラーメン史を考える場合、ここと、店の名前がつく
環七の渋滞まで引き起こした「なんでんかんでん」。
80年代のとんこつラーメンの登場とブームは一つの転機であったと
思われる。

今の東京ラーメンの味のベースでマジョリティーを占めているのは
脂が多めのとんこつしょうゆであろう。
そして、そこに、にぼしなどの魚介を足しているのが
いわゆる売れ線であろう。

そのとんこつが東京に入ってきてメジャー化した
契機の店ということになる。

ただ、現代的には、シンプルな長浜とんこつだけでは
もはやお客は呼べない。

それでこの店でも、いろんな味を作って出している。

そして、他の地域の店舗はわからぬが、この秋葉原本店は
最初に書いた秋葉原のオタク的客層と、色々な味を用意し、またそれを
細かく説明をしている、この店の雰囲気がちょっとシンクロして
繁盛しているであろうことが想像できた。

やはり、東京のラーメン店市場というのは、たいへんである。

東京の一人のラーメン好きとして思うのはこういう店はやはり
残ってほしいということ。

流行り廃りは世の常ではある。

ただ、先ほど書いたように、一度流行ると、皆同じように味になる
という傾向もある。
これはおそらく本来的にはお客の嗜好ではなく、
多くは、もてはやすラーメンマスコミの誘導によるところが
大きいのではないかと思っている。
新しい店の新しい味?(実際に味が新しいかどうかは別にして。)を
喧伝する。まあ、それが彼らの商売ではあるが。

お客にとってほんとうにいいことは、いろんな選択肢があること
であろう。どこも同じ味になってしまっては、つまらない
ではないか。

雑誌に載ったり、TVに出ればすぐさま行列ができる。
しかし、お客の側も彼らのいっていることはすべてではないことに
気が付かなければいけなかろう。
結局、うまいまずいを判断するのは自分の舌である。

さて。

秋葉原を出て、ゆるゆると自転車をこいで、上野方向へ。

夕方近いこの時刻であれば、不忍池はどんなであろうか。

夏は、蓮が生い茂って、朝ではないので花は開いていなかろうが
きれいかもしれない。

日が長いので夕暮れはまだまだ。


不忍池。

長くなるので、明日につづく。



九州じゃんがら




 


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