12月6日(日)夕
5時、国立劇場の芝居がはねた。
さてどうするか。
国立の帰りはいつもそうだか、神田須田町へ行こうか。
[まつや]で蕎麦か。
着物を着ているせいもあり、老舗のある神田須田町界隈が
気分、で、ある。
タクシーを拾って内堀通りから靖国通り。
神保町を抜けて須田町。
タクシーを降りると、、!。
あ〜、、、休みだ。
土曜、祝日はやっていたが、日曜は休みだったか。
そらならば、もちろん[やぶ]。
[まつや]の先の路地を左に入って、左に鳥すきの[ぼたん]、
ここも休み。
少し広い通りに出て、右は鮟鱇の[いせ源]。
[いせ源]は12月から無休。
通りを突っ切って突き当りが[かんだやぶそば]。
火事からの新築がなって、私は遅ればせながら
この四月に初めてきてみた。
ドアを入って、左。
お兄さんに二人というと、お座敷でもテーブルでも、
とのこと。
着物なので畳に座るとしわになるので、テーブル席へ。
座って。
ビールは劇場で呑んでいたので、お酒、お燗。
肴は、板わさに、鴨ぬきでももらおうか。
日曜日のこの時刻、並ぶまではいかないが
八分は埋まっているであろうか。
正直のところ、今度のことがあって新築されるまで
つまり、それ以前というのは、私はこの店とは
相性があまりよくなかった。
有名店であり、いつもお客で一杯。
敷居が高いまではいかないが、なにか落ち着けない。
かの、注文を通す、古風な女将さんの声は好きなのだが
あまり足が向かなかったのである。
だが、この4月のウイークデー、雨の日であったと思うが
あまりお客もなく、ちょっと印象が変わっていたのである。
むろん店自体が新築されているのだが、それだけでなく、
なにかしら店の皆さんの雰囲気が違っているように
感じられた。
板わさ。
鴨ぬき。
まあノーマルであろうか。
つくねなどはなく、ねぎと鴨肉と脂身。
お酒をもう一本。
なんだか、調子が出てきた。
天だねももらおうか。
なぜであろうか。
まあ、伝統といってよいのであろう。
藪蕎麦の天ぷらは、芝海老のかき揚げ。
逆に、他の蕎麦やでは尻尾のある一本の海老天の方が
多いのではなかろうか。
天ぬきは天ぷらそばのそば抜きだが、
天だねは天ぷらそばの、種なので、天だね。
さて。
蕎麦は、内儀(かみ)さんは、牡蠣そばといっているが、
私は、冷たいとろろ。
あれま。
緑。いつもこんな色ではなかったはずである。
新そばの季節だからか。
(この前の上野[翁庵]も確かそうであった。)
わざわざ、緑色の色を付けることもあるらしいが、
ここはどうなのか。
私の場合、あまり香というのにこだわりのようなものは
ないので、どんどん手繰る。
とろろは濃厚。
池之端の[藪]にやはりよく似ているかもしれぬ。
帳場には女将さんと娘さんであろうか、よく似た
若い女性が座り、声を出しているのは娘さんの方。
継いでいかれるのか。
稽古中?。
よい声が出ている。
毎度、思うがこれも文化財。
国は無理でも、東京都の重要無形民俗文化財にしてしてほしい。
東京のそばやの伝統の中心はやっぱりこの[かんだやぶそば]を
置いて他にはなかろう。
いや、浅草並木、池之端、神田、三藪合わせてがよいか。
この[かんだやぶそば]の注文を通す声は
絶対にやめないでほしい。
心からそう思う。
御馳走様でした。
03-3251-0287
千代田区神田淡路町2-10
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