断腸亭料理日記2014

わたりがにのパスタ

7月12日(土)第二食

さて、土曜日。

毎度、冷凍庫を開けるたびに気になっていた
わたりがに、一杯。

いつのものであったろうか。
(調べればわかるのだが、ちょっと怖いのでやめておく。)
冷凍とはいえ、いい加減食べてしまわねば。

なににするかといえば、いわずと知れた、
パスタ、で、ある。

わたりがにのパスタには本当は、少し平べったい
リングイネなのだか、在庫を見るとリングイネは切れている。
リングイネを使う理由はソースでパスタを多少煮込むためである。
円形のスパゲティーよりも平べったいリングイネの方が
表面積が多く、ソースを含みやすいということであろう。
 
しかし、買いに出るには及ぶまい。
普通のスパゲティーで代用しても、問題はあるまい。

凍っているわたりがには、流水解凍。

とけたら、足を切って大きなはさみには出刃包丁で切れ目を
入れておく。

胴体の裏側の“ふんどし”、と、呼ばれる三角形の部分を取る。

文字通りふんどしのようなので“ふんどし”なのであろうが、
名前が妙なので試みに調べてみると、生物学的には、腹節というそうな。
エビ類は尻尾が長いが、カニ類は尻尾が短くなり、
この三角形の“ふんどし”になっているという。

カニはエビから進化した?
その名残ということか。

そういえば、エビ類の雌はこの尻尾というか腹の下に卵をかかえるが、
カニ類の場合も雌はこの腹節に卵を抱え、
俗に、外子、などと呼んでいるアレ、か。

ともあれ。

“ふんどし”をはがし、甲羅をはずす。

甲羅をはずしたら中にある、ガニと呼ばれているエラ、
濃い色の毛が生えているような部分を取る。

身の部分は出刃包丁で、半分に切る。

OK、準備完了。

にんにくを用意。
1個をスライス。

パスタを茹でる湯も沸かし始める。

フライパンにオリーブオイルを敷き、にんにくを投入。

点火。

香りが出てきたら、かにも投入。

大きいので炒めずらいが表裏、ひっくり返し、炒める。

ある程度色が変わってきたら、白ワイン投入。
強火にしてフランベ。アルコールを飛ばす。

ここにトマト缶(カット)をほぼ一缶入れる。

ローリエを3枚。

ソースにしては少し量が少な目なので、水を少し加えて、
軽く、煮込む。

4〜5分。

味見。

うーむ。

生クリームを入れようか。
やっぱり、ちょっと生ぐさい、、、。

かに、海老の味噌というのは、皆さん、好きな方は多いと思うのだが、
むろん私も食べられるが、私の場合、特に好物ではなく、
好んでは食べない。

上海蟹などは、紹興酒に生きたまま漬け込んだのが
ご通家の間では珍重されるが、あれなどは、ちょいと生ぐさくて
私は食べられない。
たらなどの白子もちょっと生ぐさいものは、ダメなのである。
普通の人よりも過敏なのかもしれない。

わたりがにのパスタは、トマトを入れたこのままでもよいのだが、
生クリームを入れると生ぐささを緩和することができるし、
そういうレシピももともと存在している。

幸い、冷蔵庫に生クリームがあった。

投入し、塩胡椒。

煮立てて味見。

まあ、まあかな。
生ぐささはおおかた緩和されている。

一応ここでソースは置いておき、スパゲティーを茹でる。

アルデンテに茹でて、湯を切ってソースのフライパンへ。
再度点火し、よく合わせる。

軽く、1〜2分煮込み、ソースを吸わせる。

よいかな。

盛り付け。

はさみと甲羅も一緒に。


先週書いた、ハワイのコナビール、うまいので、
またまた買ってしまった。
ラガータイプの「Long Boat」。

パルメザンチーズをふりかけて、食べる。

完璧、とはいかぬが、まあまあであろう。

わたりがにのパスタというのは、
そうとうに、うまいもので、ある。
いくらでも食べられてしまう。

結局、これは身、ではなく、味噌のソース、で、ある。
はさみなどもほとんど食べるところはない。

他のエビ、カニでも同じ作り方をすれば、同じようなものが
できそうだが、不思議と一般的ではない。
なぜであろうか。

わたりがにが安い割にうまくて見栄えもするから
なのか。

ともあれ、わたりがにさえ買ってくれば、
特段のコツもなく、うまいものができる。
意外に簡単なパスタといえようか。

 

 

 


 


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