断腸亭料理日記2013

冷汁

7月27日(土)第二食

土曜日。

昨日は酔っぱらって帰ってきて、
そのままひっくり返って、寝てしまった。

時刻もよくわからないのだが、
比較的、早かったようで、早く起きてしまった。

第一食は、のども乾いていたので、
サッポロ一番の塩。

昼前、冷汁を作ろうと思い立つ。

ウイークデーに作ろうと思って、
材料を買っておいたのだが、機会を逸して
しまっていた。

こう本格的に暑くなってくると、
やっぱり冷汁、で、ある。

今、冷汁というのは、東京などでも
一般的になってきていると、思われる。

私が池波作品を読んで、初めて作り始めたのは
7年も前になる
が、
まだまだ、ほとんど知られていない料理であった。

冷汁というのは、全国でも何か所かで伝統的にある
料理のようだが、今、一般的になりつつあるのは
九州宮崎を中心にしたもの。

宮崎といえば、不思議な取り合わせではあるが、
チキン南蛮か、冷汁か、で、ある。

冷汁は、宮崎だけでなく隣の大分、あるいは
海を挟んだ、愛媛などでも昔から食べられてきた
もののようである。

基本は干物のような魚を焼いて煮出し、出汁にし、
これを味噌味にして冷やした汁。
豆腐を入れるのもある程度一般的なのだろう。

私も、いろいろ試行錯誤をしてきたが
安定してうまいものが作れるようになり、
毎年、夏には作っている。

真夏には冷たくてうまいものである。

去年は池波作品の原作の通りに鰹で作っている。

今年は煮干し。

ハナマサに大きな煮干しがあったので
これを使う。

まずは苦味が出るので頭と腹を取る。

干物だと焼くのだが、フライパンで乾煎(からい)り。


鍋に水を張り、乾煎りした煮干しを入れ、煮出す。

出汁もよく出さねばならぬし、煮干しも食べるので
煮立ったらふたをして、柔らかくなるまで、弱火で
煮る。


煮干しが柔らかくなり、汁にも色がついてきたら、OK。

ここに味噌を溶かす。

宮崎のオリジナルレシピでは味噌くささを
なくすために、焼き味噌を使うというが私はそのまま。

味噌くささというのは、うまみであろうと思う。
味噌は熱をかけるとうまみは減っていく。
(味噌汁の場合も煮立てないのが、現代では
セオリーであろう。)

味は冷やすのでかなり濃いめにする。

味噌を溶き入れ、練り胡麻。
中華の芝麻醤を使用。
これは味付けの一つ。

食感もよくなるので、同時に胡麻も。

白胡麻を乾煎りし、あたり鉢で軽くあたり、入れる。


豆腐は手で千切って入れる。

それから野菜。
茄子などもやってみたが、きゅうりがやはり最も
相性がよい。

一度軽く煮立てる。

あとは、冷やして置くのだが、
早く食べたいので、鍋ごと水に蓄冷材を大量に
突っ込んで、急冷。

よく冷えたら、大葉を刻んで入れる。

冷汁には大葉は欠かせないだろう。

やってみたことはないが、茗荷などもよさそうではある。

丼に盛り付ける。


一晩程度、冷蔵庫に入れて冷やすと、
より出汁も落ち着いてうまいのだが、
これでも十分。

真夏には、もってこいである。

冷汁というのは、味噌汁を冷やしたものではない、
と、宮崎の人が言っていたが、確かにそうではない。

具材でもあるが、出汁になる魚の干物がポイント。
ただ、特段珍しいものを使わなくとも、出汁が出ればよいので、
煮干しでもなんでも別段問題はなく、うまいものができる。

こんなにうまいのであるから、夏の暑い日本である、
そこら中にあってもよさそうなものだが、
宮崎などごく一部でしか食べられていなかった。
なぜであろうか、不思議である。



 





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