断腸亭料理日記2013

ISHIGAKI4.GIF - 14,031BYTES断腸亭の夏休み・

沖縄石垣島その6



断腸亭の夏休み、沖縄石垣島。

一週間、ホテルの[かりゆし倶楽部]の食事と
ダイビングの模様を紹介した。

この文章、料理日記であるので、もう数回、食事について
書いてみる。

モルディブでもどこでもそうなのだが、
ダイビングをしにビーチリゾートへいくと、
ダイビング以外のことは一切しない。

基本、リラックスと、リフレッシュにきているので
潜ったあとは、ボーっとしている。

今回もそれは一緒。

観光はしないし、ホテルが石垣の街から離れている、
ということもあるが、街へ飯を食いにいく、
ということもしなかった。

もっとも、モルディブなどは、島一つが一つのホテルというのか
リゾートで、外に出ることは逆にできないのだが、
そういう意味で、国内ではあるが、今回はリゾートとしての
使い方をした、ということではある。

そこで、二日目の夕食から。

初日はフレンチのコースだったが、二日目は和食。
まあ、和食といっても総料理長がフレンチのシェフだからか
フレンチテーストたっぷりの和食ということではあった。

前菜。


「ヤマトハタを石垣の塩とシークワサーで〆たポテトの
茶巾包み彩り野菜、人参のオニオンドレッシングサラダ仕立て
海葡萄添え」

上にのっているのは、ウニ。
潜っていても、うには目に付くが、うにもうまい。

ヤイトハタというのは、はたということなので、
初日に焼いて出てきた「ミーバイ」の仲間ということになる。
特にヤイトハタは天然でも獲れるのであろうが、
沖縄県内、石垣でも養殖されているよう。

食べてみると、昨日の同じものではないかと思われた。

海葡萄は最近は東京の食いものやでも出すように
なってきているが、正式な和名は、クビレヅタ、と、いうそうな。
こちらのもので、やはり、養殖もされている。
海藻だが、プチプチとした食感がおもしろい。

飲み物は、泡盛のモヒート。


(ここ、とにかく飲み物が出てくるのが遅かった。
前菜が出てから、飲み物を持ってくるのは、ダメであろう。)

焼物。


「アグー豚の島胡椒香り焼、ナーベラ色煮、紅蓼(べにたで)、
アダン新芽とパプリカのチャンプルー敷き
マンゴーとマスタードの甘酸っぱい鰹風味のソースで・・
あしらいに三種類の炊野菜」

アグー豚も東京に入ってきている沖縄の地豚というのか
島豚。黒豚である。

うまみが濃い。豚には甘酸っぱいソースがよく合う。

ナーベラは沖縄ではヘチマのこと。
チャンプルーなど炒めてたり煮たりして食べるよう。

アダンはこちらでマングローブなどと交って、
海岸付近に生えているランのように葉っぱの尖っている
木のことだそうな。
「新芽」とあるが石垣では冠婚葬祭など儀礼食として
食べられていたものとのこと。

まわりにあるのがヘチマなのであろうか。

まあ、これは味も見せ方も和食ではなかろう。

ヘチマというのは、多少の苦味があると思うが、
これはほぼほぼ、味はない。

アダンの新芽も本当はアクの強いものらしいが、
うまく処理されており、食べやすい。

魚料理。


「伊勢海老の筒蒸しトロピカルネーズ掛け イクラ
黒オリーブ 幽庵だれに軽く漬けたクチナギ(磯笛吹鯛)
宮良味噌に諸味を加えた粒みそ餡と
地たまごと島の根菜の厚焼き玉子 焼目エリンギ茸」

トロピカルネーズというのはトロピカルなマヨネーズ
ということであろう。

トロピカルフルーツのジュースが入っているのか。
伊勢海老にマヨネーズをかけてしまうのは、
日本人的には少しもったいないようだが、
海老とマヨネーズは洋食でも中華でもあるが、
相性抜群である。

幽庵たれというのは、柚子風味のしょうゆたれ。
クチナギ(イソフエフキ)というのは、和歌山以南の
南方の魚で、こちらではメジャーな魚のよう。
見た通り白身。淡白でうまい。

これだけ一つ一つの料理が吟味をされ、
手がかかっていると、とても贅沢に感じる。

食事。


「≪握り寿司と小さな茶碗蒸し≫
石垣島産和牛の炙り寿司 花穂 甘酢生姜
牛肉の柔らか煮をのせた玉締め 大谷渡り」

昨日のステーキもよいがこうして鮨にするのもまた、うまい。
肉はとても柔らかく、うまみが濃い。

茶碗蒸しは甘辛く煮込んだ柔らかな牛肉が、とてもよく合う。

茶碗蒸しの上にのっている緑の葉っぱが大谷渡り。

シダの仲間で、細長い葉っぱを放射状に出すもの。
観葉植物として東京でもよく見かけるものだが
ダイビングサービスの庭でも見かけたがこちらでは
自生しているものだそうな。

ウィキペディキュア

これは食べなかったが、新芽は天ぷら、チャンプルーにされ、食用だそうな。

「≪赤出し≫ 水菜と地元の水雲」

水雲とはもずくのこと。もずくも沖縄では太いものがよく捕れ。 

デザート。


「玄米と黒糖を使ったミルク寄せ
しっとり和風バタークッキー チョコレートシロップ
桑の実と苺を添えて」

どれもうまく、そしてお洒落。

腹も一杯になったし、とても贅沢に感じるコースであった。

フレンチのシェフが考えた和食風のもの、ということ
ではあろうが、我々のような者には純和風である必要は
まったくないであろう。

むしろ、和食の料理人よりもフレンチの料理人の方が
"島"の食材を使って新たな我々の口に合う料理を生み出すことには
合っているのかもしれない。

「和」+「石垣」テーストを散りばめた日本人好みのフレンチ。

堪能、で、ある。











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