断腸亭料理日記2012
10月24日(水)夜
さて。
ちょっと、この日記、自転車操業気味の今日この頃。
それに加え、いや、だから、というべきか、
なにを食べようか、いろいろ考えたのだが、
今日はなかなか決まらない。
長年こうして食い物のことを中心に、書いていると、
まあ、こういう時もある。
とりあえず、浅草で、と、決め、TXに乗り換えて、
浅草で降り、国際通りまで上がってくる。
浅草というのは私の地元、なのだが、むろん、界隈すべての店に
行ったことがあるわけのものでもなく、今日はちょっと開拓、
というつもりで、調べてきた。
調べてきた、その、とある店の前まできて、ちょっと、のぞいてみると、
うゎ、、客がいない。
国際通りから一本入ると、こういうことは少なくない。
浅草という街は、東京の他の盛り場と多少趣を異にしている。
浅草へくるお客は、基本、昼間は、国内外の観光客。
地元の人間は、まあ、観光客のいく店には、まず、足を運ばない。
そいうこともあり、観音様、仲見世界隈は、夜が早い。
では、どのへんへ行くのか、といえば、私であれば、
この観音様、仲見世の周縁部か、外側。
つまり国際通りの西の西浅草。
あるいは、言問通りの北側の観音裏、といったあたり。
また、六区なども周縁部になるが、ご存知の通り、往年の東京一の
劇場街だが、今もわずかだが、浅草演芸ホールなどもあり、
多少は夜が遅く人の入る店はある。
ただやはり、全体とすれば、浅草で働いている人々を含めた
地元の人間だけでは、夜は毎日にぎわう、というまでには
いかないのであろう。
そんなわけで目当てにしてきた店はやめて、歩き出す。
お、そうだ。蕎麦のおざわ。
老舗ではなく、趣味そば、と、私が呼んでいる範囲に入る
蕎麦やだが、ここはよい。
路地を曲がって、店前までくると、暖簾が出ていない。
そんなに早仕舞いではなかったと思うが、休み、なのか。
突き当たって、合羽橋本通り。
どぜうの飯田屋があるが、ここも休みか暖簾がない。
(水曜定休であった。)
だいたいにおいて、この合羽橋本通りにも
人気(ひとけ)がない。
と、すると、もうちょっと歩いて、
数年前にできた京都鮨の468(ヨーロッパと読む。)。
西浅草には今、大きな高層マンションができているが、
その向こう。
近くまでくると、お、灯りはついている。
店前まで来ると、、、うゎ、、、こっちは一杯。
若いご主人で、ちょっと気にかかっていたが、
繁盛でなにより。
人のことを喜んでいる場合ではない。
どこへいこう。
再び、国際通りへ戻る。
西浅草はやめて、浅草だ。
洋食。
ヨシカミはこの前いったので、パイチはどうだろう。
ヨシカミよりは早仕舞いだったと思うが、まだ9時前、
やってるであろう。
仲見世そばまでくるが、、、あれ?
パイチが見つからない。
このあたりも人通りは少なく、灯りも少ない。
(見つからないが)休み、なのか。
え〜い、もういい。
灯りが見えた、小柳だ。
小柳は、うなぎ。
江戸創業がごろごろある浅草では、まあ、そこそこの老舗といってよかろう。
NHKの朝の連ドラ「こころ」のモデルになったところ。
店前までくると、硝子格子が開いて、どやどやと大きな荷物を持った、
7〜8人のお客さん連が出てくる。
それを、着物姿の女将さんがお愛想をいって送り出す。
ここは、私は上がったことはないが、二階に座敷もあり、
大人数でのお客も多い。
出てきたお客連は、古い馴染み、なのか。
立ち話を漏れ聞いていると、この一団に、二人の、小学校高学年と中学生ぐらいの
女の子もおり、木馬館あたりであろうか、あるいは花やしきか、
今日までどこかに出ていた一団のよう。その打ち上げであろうか。
昔はこの店、芸者さんなども入る店でもあったのか。
女将さんの雰囲気を見ていると、そんな感じもする。
一連が去るのを待って、入る。
一階はテーブル席でもう空いているところの方が多い。
が、カウンターの一番端に座るようにいわれる。
この店の場合、一人客の場合、空いていてもカウンターのことが
多い、かもしれない。
だがまあ、贅沢はいわない。
ヱビスの生を頼む。
うなぎやの定番、お新香はくるが、やっぱり
他のものもほしくなる。ここは、品書きには、肝焼きはないので、
焼き鳥。
お重は松、大串。
肝吸付き。
ここもやはり、浅草で名代のうなぎや、お新香がうまい。
お新香をつまみながら呑む。
焼き鳥もきた。
ここの焼き鳥のたれはなぜか、みたらし団子のようなもの。
そして、付いている大根おろしが、辛味が強くうまい。
二杯目は、ハイボール。
お重もきた。
蒲焼の味の方向は、さっぱり、キリッ。
(甘さが立っていないというのであろうか。)
浅草のうなぎやは、初小川、色川など、やはりこの系統。
かなり微妙な違いだが、今挙げた三軒であれば、
小柳が最も甘い方向。
さっぱり、キリッは、浅草の特徴かもしれない。
ゆっくり食べて、お茶ももらって、勘定。
それにしても今日は、散々。
だが、小柳に救われた。
感謝しなくてはいけなかろう。
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