断腸亭料理日記2012

鳥越祭 その2

6月9日(土)

さて。

開けて、土曜日。

雨。

心配していた通り、東京地方は梅雨に入ってしまった。

毎年、鳥越祭は6月の2週目の土日で、梅雨入り直前のことが
多いのであるが、今年は、梅雨に入ってしまった。

鳥越祭に限らないが、下町の祭は、大方が、土曜は町内神輿を
各町がともに担ぐ、連合渡御が行なわれ、
日曜が、本社神輿の渡御となっている。

これも例年のことだが、連合渡御は、午後3時から。

雨の上に、風などもあり、寒そう。

そういえば、ここへ越してきて、10年近くになるが
鳥越祭が雨であったことは今までなかった。
多少、ぱらつくことはあっても傘を差さねばならぬほどの
雨の記憶はない。
梅雨間近(まぢか)の時期なのに、これは、なかなかの
僥倖ではあろう。

半纏は昨夜、内儀(かみ)さんが『睦(むつみ)』の係りの
新聞屋さんへ借りにいってあった。

内儀さんが、新聞屋さんへいったら、神輿の御霊入の後で
あったのであろう、『睦』の皆さんが揃いの着物で
そこに勢ぞろいしており、既に酒が入り、盛り上がって
いた、という。

15時からなので、雨も降っているし、
私も一杯呑みながら、ごろごろ。

15時すぎ。
例年であれば、この時間には、太鼓の音が聞こえてくる。

この太鼓は、町内にある都立白鴎高校の和太鼓部のもの。
町内神輿の連合渡御前に、彼女ら(メンバーは女子学生の方が多い)
が景気を付けてくれる。

白鴎高校生は、土曜日の町内神輿の連合渡御には
むしろ、主役といってよい。
聞けば、彼らの単位になるらしいが、毎年100人に近い
人数は来てくれていると思うが、我が七軒町の土曜日の
主要な担ぎ手、なのである。

が、太鼓は今年は、雨天で中止、のよう。

予定表によると、15時30分担ぎ始め、ということで
15分すぎに、私も、担ぐわけではないが、半纏を着て、
帯を締めて、出る。足元は素足に雪駄。(ビニール傘)

外に出ると、あれま。
もう、ちょうど、うちのマンションの下に差し掛かっていた。
雨なので、早く出発してしまったのか。


担ぎ手の白鴎生は半纏の上に、ビニール合羽を着ているのも多い。


(「おみこし通りますので駐車禁止」のそばに車を停めるのは
どういう神経であろうか。)

連合渡御は、北部八か町といって、周辺の八町が一緒に集まって、
担ぐのであるが、まずは、その集合場所に集まる。

集合場所は、20分ほど(距離で、280m)担いだところ。
早く出たからか、一番乗り。

私など、傘を差しているが、雨の中、待っているのは
かわいそうである。

ポツポツと各町の神輿が集まってくる。


これは、阿部川町。


ちょっと読みずらいか。
右側から縦に阿部、左に、長い川の字。


栄久町。

さして広くもない路地に八基もの神輿が並ぶのはなかなか壮観。

集まって、南下。


春日通りを渡る。


ん?

これは範囲外?。

例年の連合渡御は、北部八か町の範囲だけを担ぐのであるが、
春日通りを渡ると、八か町の範囲外。

え?

あ〜、そうだんだ。

宮入、つまり、鳥越神社まで担いで行き、神輿ごと、
境内に入れ、お参り、お払いを受け、また、自町内に戻る、
これをするんだ。

どういう年にこれをするのかは、わからぬが、
この10年ほどの間に、一度、宮入をした年があった。

この寒い雨の中、長時間担ぐのは、たいへんなこと、ではある。

蔵前橋通りが見え、神社に近くなった。
屋台店も出ている。


ここで一休み。


蔵前橋通りに出て、右に曲がる。
前方の木立が、鳥越神社。



神社に向かって右に曲がり、鳥居前で、神輿を“サス”。

サス、というのは、持ち上げること。
今は、神輿にしか使わないが、古い江戸弁。

さすがに、高校生、きれいには上がらない。



狭い境内、芋を洗うよう。


宮入は三基ずつ。社殿に向かって、三町、三基の神輿。

全員、被り物を取って、神主さんにお払いを受け、参拝。


神輿を回し、退出。

再び、蔵前橋通りに出て、休憩。

内儀さんとともに、屋台に入り、ビールと焼鳥。


お!、もう担ぎ始めている。

・・・・・・。


寒いし、帰ろうか。

情けないが、途中離脱。

あと一時間以上はかかったであろう。
白鴎生の皆さんもお疲れ様でした。
また来年もよろしくお願いします。









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