断腸亭料理日記2012

断腸亭の夏休み イタリア その10

8月11日(土)

引き続き、ローマの古代遺跡群の見学。

ここから、この遺跡群、フォロロマーノなど、
中へ入っての見学。

入口でお金を取る。


先の、カンピトーリオの丘から観ていたものを
下へ降りてそばまで行って観られる、ということ。

凱旋門やら、柱の残った神殿、建物の跡などなど。

この遺跡のなかの、フォロロマーノ、というのは、
広場のようなところ。
先日、広場(イタリア語でpiazza)のことを少し書いたが、
やはり、このあたりにさかのぼるのであろう。

フォロという言葉。
これは、英語のフォーラムの語源だそうである。
人が集まって、商業活動、政治・司法の集会、宗教儀式等々、
様々なことをする、公共の場所とのこと。

フォロロマーノは、ローマのフォロ、ということで
他の街にもフォロはあったという。

しかし、で、ある。
古代ローマ史そのものをまったく知らないというのは
大きかろう。

最初のうちは、おお、すごいな!、という
感想なのだが、段々に、同じようなものがあるだけではないか、
と、思われてくるし、また、ちょっとへんなのだが、
これ、本当に、本物なの?と、思えてくるのである。

つまり、いかにも発掘現場、らしきところもあるには
あるが、多くは遺跡として、見学用に、きれいに整備されている。
あまりにきれいなので、なにか作り物のテーマパークか、
インディージョーンズの映画のセットなのでは?
と、まで思えてくる。
(むろん、あちらが偽物で、こちらが本物、なのだが。)

そして、暑い。

まわりは、日差しをさえぎる木はおろか、
緑の類はあまりなく、石だらけ。

遺跡群はどれもそうとうに規模がでかい。

2千年も前に、これら巨大な石造りの建造物を、
人力のみで造ったということは、そうとうに驚きなのだが、
段々に、そんなことは、どうでもよくなる。

でかいので、歩いても歩いても、なかなか終わらない。

遺跡内であるためか、レストハウスのようなものも
まったくない。水を持ってきたが、既に飲み切っている。

熱中症寸前。
すべてを観るのは途中で断念し、ショートカットし、
真っ直ぐ、コロッセオまで向かう。

2時間弱であろうか、1時間半くらいであったろうか、
とにかく、ヘロヘロになって、丘から降りて、コロッセオ前まで
やっと出てきた。

露店で買った、冷たいコーラを飲んで一息。


コロッセオ前にも、凱旋門はあり、いくつもある
凱旋門のうち、これが一番でかいというが、
もはや、かなりどうでもよい状態。


先の、フォロローマーノと共通券を買ってあるので、
そのまま入れる。(こちらの列は、長蛇。)

ご存知の通り、古代ローマ時代の闘技場。


おそらく、ローマで最も有名な場所、なのであろう。

1/3ほど欠けているのは、昨日も書いたが、
その後の建築に石材として壊して使われた、という。

やはり、古代ローマと、その後のローマ、
キリスト教後のローマといってよいのかもしれぬが、
は、文化的にはある程度切り離されている、
と、いってよいのであろう。

先祖の大切な文化財であれば、壊す、ということは
そうそうすまい。

日本の建築は基本、木造であるから、火事が起きても、
あるいは、ちょっとした戦乱でもあれば、簡単に燃やされてしまう。
京都や奈良の寺々もやはり、今に残っている方が、
珍しいといってよかろう。

これに対して、こちらは、明確な意志があり、
そうとうな労力を以ってしなければ、壊すことはできない。
これも一つ、石の文化の特徴、で、あろう。

このコロッセオ、上まで昇れるようなのだが、
そんな元気はなく、1階を半周ほどして、退散。

ともかくも、昼飯、で、ある。

昼飯の場所は、調べておいた。
トラットリアというのであろうか。
この近所の町のレストラン。

早くたどり着きたかったのに、
迷ってしまい、少し歩くはめになったが、
なんとか到着。

Da Nerone。

こちらのレストランは、ご案内の通り、
スペースがあれば、で、あろうが、ほぼ100%、
外にもテーブルを出している。

日陰で気持ちよさそうなので、外に座る。
日本のガイドブックに載っていたくらいで
ある程度名の知られた店、なのであろう。
観光客らしいお客もいる。

座って、水とビール。


ビールもさることながら、水がうまい。
やはり、脱水寸前であったか。

さて。

一息ついて、オーダー。

私は、ガイドブックのおすすめにしたがい、
店の名前のついた、フェットチーネ。
内儀(かみ)さんは、ポルチーニのフェットチーネ。

内儀さんのポルチーニ。


フェットチーネ・ネローネ。


クリームベース。
具はどうも、生ハムのよう。

味付けはこってりすぎもせず、また、濃くも薄くもなく、
ちょうどよい加減。特別凝っているわけではないが、
ホークが止まらぬほど、うまい。

内儀さんのポルチーニよりも、こちらの方が、
うまい。
店の名前をつけたものが、まずいわけはなかろう。

このフェットチーネはひょっとすると
自家製の生パスタ、なのではなかろうか。

食べ終わると、皆に出しているようだった、
サービスといって、甘いパンを出してくれた。


名前はなんというのかわからぬが、
真ん中にクリームが入っている。

勘定をして立つ。

と、太った女主人がにこやかに送り出してくれる。

ここの生パスタは、このマンマの手作り、で、あろうか。
(イタリアでは、主人らしい人が、
ほぼ、すべての店で、にこやかに送り出してくれた。
やはり、イタリア人の気質、なのであろう。)

おいしかったです。





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