断腸亭料理日記2011
11月13日(日)
日曜日。
午後3時すぎ、床屋へ出る。
自転車、で、ある。
天気はよいが、やはりセーター姿。
やはり、11月の割には、暖かいといってよかろう。
仲御徒町のQBで髪を切って、昨日うまい鮨を
食べたばかりだが、毎度、既定のコース、
魚やをのぞくことにする。
最初に、アメ横。
天気もよいせいか、アメ横も随分人が出ている。
ここは、今日は今一つ、ピンとくるものがない。
吉池にまわってみる。
こちらへきてみると、北海道産の生秋刀魚が
1本70円、などと、ちょいと、そそられるものも
あるのだが、最も引っ掛かったのが、鱸(すずき)。
頭の後ろに刃が入っており、活け締めか。
大きさは40cm程度と、さほど大きなものではないが
1本、950円。
千葉竹岡、としてある。
竹岡というのは、内房、富津の先。
対岸は久里浜あたりで、東京湾としても
出口に近いところ、か。
また、この時期の鱸は、落ち鱸で、脂が乗っているかな。
刺身に塩焼き、と、
ちょっと、期待できるかもしれない。
買ってみようか。
吉池のお兄ちゃんにいうと、おろしますか?
と、聞かれた。
自分でおろすつもりでいたのだが、折角聞いてくれたので、
二枚にと、頼む。
さて。
もう1品、なにか買おう。
刺身、かな。
マグロ中トロ、切り落とし。
ここには、いつもあるが、250円ほど。
買って、帰る。
開けると、二枚おろしが、できていて、
こんな感じ。
よしよし。
早速、刺身に切ってみようか。
骨のない方の身。
尻尾側から、刺身包丁を入れ、皮を引く。
いや、この、皮を引く、というのは、魚によっても
多少難易度は違うが、途中で切れてしまったりし、
全般的には、私は苦手である。
今日もちょいと、苦戦。
結局、内臓のある部分、ハラスのところは、
あきらめることになってしまった。
あとは、比較的薄めに切る。
ビールを抜いて、食べてみる。
わさびしょうゆ。
なかなか、うまいのではないかろうか。
脂もそこそこ、ある。
池波先生も鱸は、好物の魚の一つであったと思う。
鱸というのは、独特の風味がある。
川魚のような、というふうにも形容できるかもしれない。
(ある種、泥くさい、ともいえるか。)
だが、そこが持ち味。
が、、今日のは、それが少し、強いような、、
気もする。
が、ここは、十分許容範囲。
おまけの、まぐろ、中トロ切り落とし。
むろん、これもうまい。
次は、塩焼き。
もう半身も、頭側半分。
そして、頭とアラは、つゆにしよう。
霜降りをして、洗って、水から煮る。
アクは丹念にすくう。
塩焼き。
ビールから、お酒。
菊正宗の燗酒。
(そう。そろそろ、燗酒がうまくなる頃、で、ある。)
塩焼きは、、?。
あれま。
これは、!?
くさい。
刺身よりも、泥くさいような、鱸独特に匂いが
明らかに強くなっている。
しかし、今まで、ここまでの匂いはしていない。
これは初めて、である。
この後、飯も炊いて、つゆに、してみた。
京都のちりめん山椒に、漬物も出してみた。
これも、見栄えはそれらしいが、、、。
やっぱり、だめ、で、ある。
匂い。
塩焼きよりも、強くなっているような気がしないでもない。
活け締めをしてあったので、鮮度はそうわるくないとは
思われる。
鱸というのは、こういうこともあるのか、、。
あとで調べてみたら、東京湾で鱸を釣る釣人の間では、
これは有名なことのよう。
東京湾でも、奥で獲れたものは、匂う、という。
そんなものか、で、ある。
鱸、という魚は、もともと、内湾から河口、さらに、ある程度、
真水の川にも遡上するという。江戸湾には、昔からいた。
以前にTVで視たことがあったが、今の東京湾には鱸は大量にいる。
特に、工場の排水口などは、水も温かく、栄養分も多い。
(むろん、これは海に流してよい環境基準内の、排水なのではあろうが。)
ここに群れている鱸も多いという。
これはそれかも、ということか。
ちょっと、期待したのだが、、
残念であった。
まあ、こんなことも、あるか。
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