断腸亭料理日記2011
2月7日(月)夜
さて。
今日は、会社の、年上の知り合いと、
神田須田町の、鳥すき・ぼたん。
先月は『講座』で、その隣、いせ源にいったところ。
少し前から、どこか、うまいものを食いに行こう
と話していたのだが、店を選ぶのは、私に任された。
で、以前から行きたかった、ぼたん。
いせ源も、池波レシピ、で、あるが、
こちらも同様。いや、むしろ、こちらの方が
池波先生はご贔屓、で、あったようでもある。
実際のところ、私は、隣のいせ源は『講座』以前から、
冬には出かけていたのだが、ぼたんの方は、
なぜだか、入ったことがなかったのである。
ここは、創業は1897年(明治30年)頃。
建物は、震災後のもので、都指定歴史的建造物。
市谷から連れだって、都営新宿線、小川町で降りて
歩く。
まあ、すぐ、ではある。
ここは予約は4人以上で、2人では受けてくれない。
6時すぎ、オフィスを出るときに一応TELを入れ、
大丈夫ですよ、との言葉をもらって、いた。
いせ源の入口は、少し広い路地側にあるが、
ぼたんの方は、細い路地側にある。
ガラス戸を開けると、紺の袢纏を着た下足の小父さんがいて、
二人、と、いって、上がる。
案内されたのは、真っ直ぐ入った、十畳ほどの入れ込みの座敷。
先客は、二組。
小さな朱塗りのお膳が二つと、炭の焜炉を置く場所と
思われるものが、ある。
鍋はちっちゃな鉄鍋。
連れは、小さいなぁ〜、などといっている。
駒形どぜうなどもそうだが、基本は、一人か
二人で食べるもの。いわば、ここも、
池波先生いうところの、“小鍋”、なのである。
飲み物は?、と、聞かれる、ビールを
頼む。
お通しがきて、ビールがくる。
お通しはマグロの角煮。
と、なにもいわれなくとも、鍋の用意が始まる。
ここへきて、鍋を食べない人はいない、であろう。
肉などがのった皿。
割り下、その他。
最初は、中居さんが鍋に入れてくれる。
入るものは、鳥の正肉と、やはり、肝。
レバーと砂肝、焼き豆腐に、細い白滝、そしてねぎ。
実にシンプル。
やはり、江戸前の鍋はこうでなくてはならない。
先日、自分で軍鶏鍋をやったばかり。
あれは、笹がきの牛蒡を入れるが、あれがねぎに
代わり、、、そうそう。ここは皮も入れない。
メインの肉に野菜一品。
それに白滝、豆腐。
そして、水炊きや、出汁で煮るのでもなく、
甘辛で焼く、というのか、煮〆る。
こういうもの、で、ある。
こんなところが、正調東京の鍋。
煮えてきたら、端から
溶き玉子をくぐらせて、食べる。
砂肝もレバーも、よく血抜きがしてある。
しかし、その程度で、他は見た目には、
なんということはない。
しかし、これが、実にどうも、
うまい、のである。
さすが、100年以上、同じ商売を続けてきた
暖簾、なのであろう。
連れは、大阪が出身の者、で、あるが、
やはり、うまい、うまい、といっている。
一皿を食べ終わり、もう一皿。
玉子も、一人にもう一つ付いている。
二人で、二人前であろうが、
量も、十分にある。
燗酒にかえて、呑んで、食らう。
最後は、おつゆはなしで、ご飯。
残った玉子と、鍋に残った脂の出たつゆを
かけて、食べる。
上品ではないが、これがよい、
ではないか。
うまかった、うまかった。
満腹、満腹。
いせ源もよいが、なんのなんの。
池波先生は、株屋の小僧であった10代の頃、
友達とここで腹を拵(こしら)えてから、
仲(ナカ、吉原のこと)へ繰り込んだ、と、いう。
鳥すき、ぼたん。
うまいもんで、ある。
千代田区神田須田町1−15
03-3251-0577
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