断腸亭料理日記2011

ぼんじり

12月17日(土)第三食

午後、3時すぎ、合羽橋へ自転車ででかける。

なにを買いに行こうと思ったかというと、
親子丼やかつ丼などの丼を煮るのに使う鍋、丼鍋、で、ある。

以前に100円ショップで買った、ちゃちなもので、
持ち手の継ぎ目からつゆが漏っていた。
テフロンのちゃんとしたものを買おう買おうと、思っていたのである。
今日、親子丼が食べたくなり、この機会に、買いに出たのである。

今日も寒い。

自転車を走らせながら、炭をついでに、買ってこようと
思い付いた。

そろそろ、時間があれば、火鉢に火を入れ始めている。

炭は合羽橋、松が谷の裏通りにある齋藤商店というところで
毎年買っている。
歩いて台車を押してきて、二袋くらいは買っておきたいのだが、
自転車だと前の籠に一袋しか入らない。
またくればよいか。

元浅草から、浅草通りを越えれば、松が谷。
路地を少し北上。
店まできて、岩手の切炭6kg一袋、購入。

合羽橋の表通りに出て、丼鍋をみる。
こういうものを扱っている店は合羽橋では数多い。
値段も合羽橋の中ではほぼ同じ、で、あろう。

見ていると丼鍋は、アルマイトのもの、それから、
銅製のものもある。これは高い。
テフロンのものは、700円くらい。これに200円の
ふたも一緒に購入。

なぜテフロンがよいのか。
店でよくやっている、丼鍋から、ス〜ッとスライドさせて
ご飯の上に載せる、あれがやってみたかった、のである。

6kgの炭の袋もあるので、一度戻り、置いて再度出る。

今度は春日通りを渡ったハナマサで鶏もも肉を買う。
もも肉は、いつも2kgの大きな袋のものを買って、一枚ずつ
ラップに包んで、冷凍して使っている。

2kgで1000円ちょい。

鶏肉の売場にくると、珍しいものがあった。
鶏テール、と、書いてある。

これ、焼鳥やで、たまに見かける、ぼんじり、
というやつかな。

20個くらいはあろうか。
300円程度。

安いので、買ってみようか。

帰宅し、調べてみると、やはり、鶏テールとは、
ぼんじり、と呼ばれているもののよう。
文字通り、尻尾の付け根の、ちっちゃな骨がある脂の多い肉。
このため、1羽から一つしかとれない。
だから、珍品といわれているのであろう。
こんなパックで売っているというのは、やはり珍しい。

しかし、珍しいものなのに、1パック300円程度、と安いのは、
ちょっと、おもしろい。

帰宅。

ぼんじりは、甘辛の焼鳥にしてみようか。

焼鳥のたれも、穴子のたれ同様、ストックしてあるのだが、
焼く前に、たれをちょっと、リファインしようか。

鍋に酒、しょうゆ、砂糖、水を入れ、ぼんじりも、
三個ほど入れる。

ぼんじりは、脂があるので、煮出せばよい味になるであろう。


これは煮出したもの。

先にこれを食べてみる。

これは、焼いた方がうまいか。
ぼんじりは、脂身なのであろうが、軟骨に近いような、
シコシコとした硬さがある。ちょいと煮ただけでは
柔らなくはならないようである。

つゆは、ぼんじりを煮たものに、
ストックしてあるものを加え、再度煮詰める。

今度は、ぼんじりを、焼く。

ガスのグリルでよいであろう。

こんがり焼いて、まずは、塩。


それから、今煮詰めた、たれをからめて。


たれ、塩、どちらも、うまい。

焼鳥、というのは、たれでも、塩でも、どちらでもいいものと、
好みもあろうが、どちらかがよりうまいものとに、分かれるだろう。

例えば、つくね、などは、まあ、明らかにたれ、の、方が、
うまい。ももなどの、正肉、ねぎま、は、たれも私は好きだが、
ものがよければ、塩の方が、うまいか。
あるいは、軟骨は、明らかに塩、か。
皮はどちらだろうか、、、。

ぼんじりの場合、脂のうえにコクもあり、塩でも強めの方が、
合っている。

また、コリコリとした食感が癖になる。

結局、パック一杯、内儀(かみ)さんの分、6〜7個を残して、
10数個を食べてしまった。
(うまいものだが、いくらなんでも、これは食べすぎ。)

これだけうまいものだが、流通量が少ない、
いや、一般にはほとんど手に入らないというのは、
まあ、あたりまえのこととはいえ、残念。

今日は、僥倖に感謝、で、ある。



明日は、引き続き、本命のはずだった、
親子丼。








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