断腸亭料理日記2011
4月13日(水)朝
4月だからというのもあり、また、
たまたま、というのもあるのだが、
先週から、外で人と呑む機会が続いている。
まるで、12月の忘年会ラッシュのようではある。
昨日もまた、呑みの席で、
今朝は、軽い二日酔い。
呑んでも、深酒をしなければよいのは、
わかりきっているのだが、久しぶりに、呑む相手であったりすると、
話が弾み、ついつい、呑みすぎ、ということになる。
そんなことで、朝飯。
さらっと、入るもの。
冷や飯があるので、茶漬け、湯漬けの類にでも
しようか。
一般に茶漬け、湯漬け、というと、どんなものを
思い浮かべるのであろうか。
最近の若い人では、市販の『お茶漬け海苔』を
かけるのを、お茶漬け、と、思っていることも
少なくないともいう。
むろん、お茶漬け海苔も、わるくはないが、
本来は、文字通り、冷や飯にお茶をかけて、
沢庵かなにかで、飯をかっ込むのが、お茶漬け、
というものではあろう。
また、凝れば、鯛茶漬け、
名古屋の鰻蒲焼でやる、ひつまぶし、の
最後に食べる、うな茶、
なんというものある。
あるいは、最近、居酒屋などで出るところもあり、
本来は、どこかの郷土料理なのかもしれぬが、
焼きおにぎりを飯椀に入れ、出汁をかけたものなども
あり、これもうまい。
さらには、最近、自分でも夏やっているが、
冷や汁に飯を入れたものも、
ぶっかけ飯だが、広い意味では、茶漬け、
湯漬けの類といってもよいかもしれない。
こう考えてくると、茶漬け、湯漬け、さらには
ぶっかけ飯まで含め、日本の茶漬けの食文化というのは
実に幅広く豊かであり、また、うまいものが、いろいろと
考えられてきた、ということである。
煎じ詰めると、日本人に茶漬けは、
それだけ、愛されてきたものである、
ということではあろう。
従って、若い人にも、市販のお茶漬け海苔だけが
お茶漬けである、というイメージは、
忘れていただきたいもの、ではある。
閑話休題。
なんの用意もなくても、すぐに食べられる、
茶漬け。
これはもう、酒盗、で、ある。
いや、酒盗でなくともよい。いか、でもよいのだが、
塩辛を飯にのせて、湯をかけたもの。
個人的には、茶漬けでは、これが大好物、で、ある。
酒盗とは、鰹の塩辛だが、拙亭の冷蔵庫には、
常備してある。
むろん、つまみ、としての用意なのだが、
酒盗は、パスタなどの味付けにもよいし、
なかなか重宝ではある。
そうそう、いか、であれば、思い出した。
今はあまり、店頭で見かけなくなったが、桃屋のいかの塩辛。
あれも、塩辛いので、茶漬けにはぴったり、で、あった。
さて。
作る、というほどではないが、
手順を説明する。
冷や飯にそのまま湯をかけてもよいのだが、
湯がぬるくなるので、冷蔵庫から出した冷や飯は、
一度レンジで温める。
これを丼に移し、酒盗をのせ、ねぎのみじん切り
なんぞも散らす。
そして、湯を掛け回せばよい。
京都のしば漬けと、同じく、ちりめん山椒も出す。
塩辛、というもの、特に酒盗は、匂いがあるので、
敬遠する人もいるが、この匂いも含めて、
旨味のかたまり。
これが湯に溶けて、実に、どうも、ばかうま。
日本の茶漬け文化、万歳、で、ある。
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