断腸亭料理日記2010
9月15日(水)昼
前から、いってみようと思っていたのだが、
なかなか果たせなかった、市ケ谷・六番町、日テレ通りの
蕎麦や、角屋。
市ケ谷はオフィスのあるところ、ではあるが、
オフィスは市ケ谷ではなく、新宿区市谷。
つまり、お濠の外側で、時間がないと、JR市ケ谷駅の
向う、千代田区側までは、なかなかこない。
今日はたまたま、この界隈のビルで社外の会議が一日あり、
昼、このへんで、ということになった。
市ケ谷駅は外濠の内側で、千代田区。
町名は五番町。千代田区側には、駅を含め、市ケ谷
という地名は昔からない。
いわゆる番町と呼ばれているところ。
(以前に書いたこの付近のこと。)
角屋、という蕎麦やは、JR市ケ谷駅から、
軽い坂になっている日テレ通り、
これを登り、一つ目の信号を越えて、右側。
ここの今の町名は五番町。
角屋というが、角ではない。
ビルの一階。
見たところ、とても普通な町の蕎麦や。
12時すぎ、一人で暖簾をくぐって、
格子を開けてみる。
にぎわっており、相席で座る。
壁などにも、「当店特製、カレー南蛮」
と、書いてた紙が貼られている。
むろん、私も、カレー南蛮、蕎麦を頼む。
まわりを見回して、気が付いた。
ほぼ、100%の人が、カレー南蛮を頼んでいる。
蕎麦、も、うどん、もあり、また、麺の冷たいものという
バリエーションはあるが、食べている人、注文している人、
すべて、カレー南蛮。
おそれ入った。
ここは、町の蕎麦やではなく、町のカレー南蛮や、
で、あった。
少し待って、きた。
色は濃いめであろう。
箸をつけてみる。
カレーのつゆは?
ん?
かなり、甘め、である。
前にも書いたことがあるような気がするが、
私は、東京の蕎麦のつゆは、二種類に分かれていると
思っている。
これは、地域的な差で、山手と下町。
例えば、拙亭近所の浅草、上野、神田など下町と、
このあたり、私のオフィスのある市谷、牛込、神楽坂など。
(どちらも、私には、地元ではあるので。)
どちらも、濃いは濃いが、下町は、よりしょうゆの立った味。
山手は、その上に、甘味を足したような味。
盛り、の、つけ汁ではわかりずらいが、
かけ、の、つゆで比べるとわかりやすいかもしれない。
下町のつゆに慣れていると、山手のものは、甘くて、
飲み切れない。
で、ここは、やはり場所柄か、山手の甘めのつゆで
これがベースのカレー南蛮のつゆになっている。
そして、他の店との違いは、より濃い、ということであろう。
カレー南蛮というもの、ポイントは、濃さで、ある。
カレー南蛮がうまいところ、というのは、
私も一時、転勤で住んでいた、名古屋地方。
肉は牛で、麺はうどん。かの地の濃い食文化を
反映し、とにかく、濃い。
これは、味が濃いということもあるが、
出汁(肉や、魚介両方かもしれぬが)も濃い。
これが、うまいカレーうどん、で、ある。
私は、カレー南蛮(うどん)も自作をする。
このレシピでは、ラードを使ったりしているが、
これも、濃さ、に、つながっている。
(そういう意味では、ここ、角屋のカレー南蛮は
ラードのようなものの濃さではなく、山手蕎麦やの
甘辛の濃い汁、に、由来するものではなかろうか。)
ともあれ。
ここは、その昔、自民党の三木首相の事務所が
近所にあり、奥様がここを贔屓にしていた、という
情報もある。
ちょっと、不思議な蕎麦や、で、ある。
千代田区六番町4 朝日六番町マンション 1F
03-3261-0066
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