断腸亭料理日記2010

鮨・新ばし・しみづ

3月9日(火)夜

鮨が食いたくなった。

会社帰りに寄るとすると、神田の鶴八、が、便利で、
先月いっている。

今日は、新橋のしみづ、へ、いってみようか。

前回は1月

少し、仕事が立て込んでおり、そうそう早くは
オフィスを出られない。
8時、であろうか。

昼過ぎ、TELを入れてみると、8時15分と、いつもの通り、
細かく、指定された。

オフィスのある市谷から新橋までは、なかなか、行きづらい
と、思っていた。有楽町線で有楽町まで出て、JRで新橋。
これがオーソドックスと。

改めて、路線検索をしてみると、
いろいろなルートが出てきた。

南北線で溜池山王乗り換え、銀座線新橋。
場合によっては、JR四谷乗り換え、丸の内線、
さらに赤坂見附乗り換え、銀座線。
これは3回の乗り換えになるが、丸の内線、銀座線の
乗り換えは、目の前で簡便。

そうか、それは、気が付いていなかった。
意外に、東京の人間でも、そんなもの、で、ある。

東京都心は、皇居が真ん中にあり、
市谷から新橋まで直線を引くと、皇居の南側、内濠と、外濠の
間あたりを通る。
有楽町線はその皇居の内濠。
四谷なり、溜池山王、赤坂見附は、外濠になる。

市谷も新橋も外濠沿いにあり、結局、その外濠を
回るルートが早かった、と、いうこと。

7時半すぎ、オフィスを出ると、夕方までは雨だと思っていたのが、
みぞれから、雪。
それも随分と強く降っている。
歩道には、早くもシャーベット状に積もり始めている。

寒い。

南北線、銀座線で、新橋到着。

新橋の方が、海寄りだからか、多少、みぞれに近いかもしれぬ。

烏森神社の路地に入り、社殿の前を左に曲がり、すぐに、右。
路地の左側、しみづ、の、格子を開ける。

暖かい室内。

ホトッと一息。
名乗り、親方に、会釈。

手袋、コート、マフラーも脱いで。
カウンターに。

先客は、男性二人組みと、男性一人。

雪で、寒く、燗酒、とも思ってきたが、暖かい店の中に入ると、
やっぱりビールがよくなるのは、不思議である。

ビールをもらい、お通しは、菜花。

少し、おまかせで、つまみをもらうことにする。

最初に切ってくれたのが、白身。
ほうぼう、だと、いう。

ほうぼう、というのは、御徒町の吉池などでも見かけ、
さほど珍しい魚ではないと思われるが、刺身はおろか、
あまり食べた記憶もなかった。

しかし、どうしてどうして、なかなかなもの、で、ある。
へんな、くさみもなく、白身としては、濃厚なうまみ、ではなかろうか。

腹も減っているので、バクバクと食う。

次に出してくれたのは、生しらす。
小鉢に入り、軽くしょうゆと、おろししょうがを
まぶしてある。

生しらすは、珍味というのか、湘南あたりの名物として、
有名であるのだが、今まで、実のところ、
あまりピンときていなかった。

なにかというと、随分生ぐさい、と。

それが、さにあらず。
そうとうに、うまい。

よく、鮮度のことを、生しらすはいうが、
今までのもの(魚やで買ったもの、料理やで食べたもの、両方あるが)は
イマヒトツ、だったのか。

驚き、で、ある。

次は、煮いか。

ボイルやりいかで、甘いたれをかけたもの。
下足も添えてあり、うまい。
(前にも気付いたことがあるが、ここの甘いたれ(ツメ)は
格別に風味がよいように、思う。)

次は、炙った平貝。

前回、1月にきたときにも出たが、歯応えのよい
香ばしく焼かれたもの。
小皿に出された塩で、つまむ。

ビールもちょうど、ここで呑み終り、にぎりにする。
(にぎりは、お好みで。)

まずは、中トロ、いか。

いかもうまいが、ここのマグロは、やはり、ぴか一。
柔らかさ、あまみ、そして、香り。
なかなかなもの。

次は、光物。

さよりはやめて、春子、鯵、小肌。
三つ一度に頼む。

ついでに、茹でる時間のかかる、海老も頼んでおく。

光物もここの看板。
美家古寿司からの流れ。
強めに〆てあり、濃い味の赤酢の酢飯と相まって、
うまい。

鯵は酢洗いをしているよう。

小肌は、おぼろをはさんでいるようである。

海老は大ぶりのもので、茹で上がりから、荒熱をとって、
いい塩梅の温度で、にぎってくれる。
浅草観音裏一新、も、海老はうまいが、甲乙つけがたいだろう。

江戸前にぎり鮨の海老とは、本当はこういう味であった、
ということが、よくわかる。

そろそろ、仕上げ。
はまぐりと、穴子。

穴子もいつもの通り、一度にぎったものを包丁で、半分に切って、
右側に塩、左側にたれ。
ふと、今日気が付いたのだが、この右左の置く場所。

意識してこの位置に置かれているのだろうか。
右利きの場合、右側から普通は食べる。
と、すると、塩から食べる、ということになるのだが、
むろん、味の薄い、塩から食べた方が、正解。

〆は、海苔巻。

干瓢巻きだが、特に頼んでいないが、
わさびを少し、利かせている。

行き届いている。

うまかった。

勘定は、14500円。

ビール一本、つまみ3〜4品と、にぎりで、ここでは
こんな感じであろう。

ご馳走様でした。

再び、みぞれ交じりの、新橋の路地へ。


TEL:03-3591-5763
住所:東京都港区新橋2丁目15−13


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