断腸亭料理日記2010
1月6日(水)夜
今日は、一日、柏の事業所。
6時前、同僚とともに、出る。
帰り、ちょいと、一杯、いこうか、
ということになった。
柏といっても、例によってTXの柏。
このあたりはショッピングビルのテナント程度で
たいしたものはない。
この同僚は、流山で、柏の隣。
連れ出してしまうようだが、少し時間も早いし、
南千住、尾花で、初うなぎ、に誘ってみた。
私にとっては、尾花、と、いうのは、
単なる、うまいうなぎや、ではなく、なん度も書いているが、
特別な存在。
様々な意味で、東京のうなぎやを代表し、
絶対になくなってほしくない空間、で、ある。
ここに、同僚を誘うのは初めて、で、ある。
南千住で降る。
マンションもたくさんできて、
この駅前も、きれいになったもの、で、ある。
左に出て、旧奥州街道を、回向院側に渡り、
常磐線の土手下の道を入る。
旅館が右側に、1〜2軒あり、尾花の門。
庭があって、大きな暖簾が下がった、玄関。
18時半頃、外に緋毛氈をかけた、待っている人のための
縁台も出ているが、今日は誰もいない。
玄関に入ると、下足のお姐さんがいて、二人、と、告げる。
靴を脱いで、札をもらって、硝子戸を開けて、座敷に上がる。
正月もまだ、松の内。
こんな頃に、うなぎを食べようと、いう人も
そう多くはないのか、だいぶゆったりしている。
大きな入れ込みの座敷。
鴨居の上には、正月らしく、
飾り羽子板が並べられている。
奥の方のお膳に案内される。
二人で、どっかりと腰を下ろす。
今日は、けっこう寒かった。
日が落ちると、柏などはもう、5℃を切っているくらい
ではなかったか。
お酒お燗を二本。
注文は、と。
いつもは一人なので、鯉の洗い、なのだが、
う巻き、焼鳥、を、もらおうか。
それから、連れは、鯉の洗い、というものを
食べたことがない、と、いうので、
時季外れ、かもしれぬが、洗いも頼んでみる。
酒がきた。
腹も減っているが、どんどん、呑んでしまう。
洗い、からきた。
夏は、氷を下に入れて出てくるが、
さすがにこの季節、そんなものは入っていない。
しかし、鯉の洗いというもの、別段、冬でもうまい。
続いて、焼鳥。
ここで食べるのは、初めてかもしれぬが、
うなぎや、の焼鳥、と、いうのは、うまい
ものである。
割合とどこも、ぎっちり串に指し、ふっくらと焼いている。
やはり、焼きの腕、が、そこいらの焼鳥や、とは、
違う、のであろう。
(私のご近所、小島町のやしまも、焼鳥もうまい。)
う巻き。
これも、うまい。
中にたっぷりと、蒲焼がはいり、それも
細かく切ってあり、うなぎの脂と、玉子で
トロトロ。
二人いれば、このくらいのものを、頼めるのがいい。
食って、呑んで、お銚子ももう二本、お代わり。
話も弾み、酒も進む。
すいていたせいか、いつもよりは、
早く、蒲焼が出てきた。
お重のふたを取って、山椒とふって、
食べる。
連れは、生まれは埼玉なので、むろん、うなぎは食べ慣れて
いるのだろうが、特段の食道楽でもない。
ここのうなぎに、随分と感動をし、
「いや〜、うまいですね〜、うまいですね〜」を連発し、
ガツガツ、バクバクと、食っている。
そうであろう、そうであろう、ここがまずかったら、
東京で食べるうなぎやは、なくなってしまう。
しかし、そこまで感動してもらえると、
連れてきた甲斐がある、と、いうものだし、
自分が褒められたようで、うれしいかぎり。
食い終わり、ゆっくりお茶をもらって、
下足の札を持って、立つ。
うまかった、うまかった。
玄関脇の帳場で勘定。
二人で、13000円也。
(むろん、私が払う。)
帳場で、おつりとともに、
年賀の手拭いもくれた。
今年、初めてのうなぎ。
尾花は、こうして、男二人でくるのも、
また、よいもの、で、ある。
03-3801-4670
116-0003 東京都荒川区南千住5丁目33−1
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