断腸亭料理日記2010

白和え

12月6日(月)夜

今日は、人間ドックであった。
会社の診療所で毎年受けているものではあるのだが、
今年は、日々不摂生がたたり、例のメタボ基準の
三項目以上、というのに引っ掛かってしまった。

私の場合、呑みすぎ、ドカ食い、
身体を動かさない、まあ、この三つが主たる原因。
特に、この半月ほどは、人間ドックが控えているのだから、
多少摂生をすればよいのに、抑制が効いていなかった。

と、いうことで、生活を改めようと、
決心をしたわけである。

できるだけ歩く。
ドカ食いをしない。
深酒も控える。

できるだけ歩く、というのは、
このところお留守だった、落語の稽古を
少し再会してみる。(落語の稽古というのは、
基本的には、歩きながらやるもので、
これをちゃんとやっているときには、
ウイークデーであれば、一つ前の駅で降りて、歩く。
土日であれば、1時間程度は簡単に歩けてしまう、
のである。)

で、食いもの。

今日から始めようと思い、
なにを食べようか、考える。

切干大根でも煮るか?。
こんにゃくを胡麻油、しょうゆ酒、で炒めて、
七味をかけた、かみなりこんにゃく?。
こんにゃくと、がんもでも煮る?。

ん?
こんにゃく、油揚げ、、ならば、
白和えがあるではないか。

これはよかろう。
カロリーも低そうだし、なにしろ、うまい。

白和えは、池波レシピ。

鬼平の一場面。

「酒は五合まで肴(さかな)は有合わせ一品のみ」と、

いう大きな木札が掛けてある、『権兵衛居酒屋』。

『その一品は蒟蒻(こんにゃく)であった。

短冊に切った蒟蒻を空炒(からいり)にし、油揚げの千切りを加え、

豆腐をすりつぶしたもので和えたものが小鉢に盛られ、運ばれてきた。

 白胡麻の香りもする。』

鬼平犯科帳(十七)特別長篇 鬼火 池波正太郎著 文春文庫




帰り、ハナマサで材料を買う。

豆腐、油揚げ、こんにゃく、青みに、小松菜。
それから、白味噌が切れていたので、白味噌(西京味噌)。
白胡麻はあるが、胡麻ペースト、いわゆる練り胡麻も必要。
練り胡麻は、中華の芝麻醤でOK。家にまだありそうだが、
予備も含めて、買っておく。
以上。

こんにゃくも油揚げも大量には必要ない。
こんにゃくは、大きな塊のうち、5cmほどで、
薄切りから、細く短く切る。
油揚げは2枚ほど、これも短冊に切っておく。

どちらも、お湯で下煮。
油揚げは油抜き、こんにゃくは、くさみ取り。

油揚げの方から、先にあげて、こんにゃくは、
さらに数分、煮出す。

OK。
一度、水で洗って、
こんにゃくから、味をつける。

鍋に酒、しょうゆ、砂糖を入れ、こんにゃくも入れる。
水はなし。煮詰めて、味を含ませる。

こんにゃくに色が付いたら、こんにゃくだけ皿に取っておく。
残っている甘辛のたれに、今度は油揚げを入れる。
味を見て、しょうゆ、酒を追加。
これも味が染みれば、OK。

こんにゃく、油揚げは、置いておく。

もう一つ、湯を鍋に沸かす。
これは、小松菜を茹でるため。

小松菜は、切って、洗う。
熱の通りが違うので、根元に近い茎の部分と
葉の部分を分けておく。

白和えの場合、青みの熱の通りは、最少にしておきたい。
でなければ、水が出てきて、いけない。

茹って、急冷ができるように、
ボールに水と蓄冷材を入れた、冷水も用意。

湧いた湯に、茎の部分から入れ、時間差で葉。
葉を入れたら、数秒でよいだろう。

すぐにざるにあけて、水をかけ、冷水に。

冷えたら、ざるにあげておく。

あえる元を作る。
最初に、白胡麻を、フライパンで軽く炒る。

あたり鉢に入れ、細かめにあたる。

ここに豆腐。大匙2ほど。
白和えの豆腐というのは、ほんの少しなのである。

練り白胡麻、芝麻醤を大匙1ほどか。
最後に白味噌。これは、小匙2ほどか。

よく混ぜ合わす。

プロならば、裏漉す、のであろうが、
家庭では、そこまではいいだろう。

味見。
ちょいと、薄いが、こんにゃく、
油揚げにも濃い味をつけたので、
一先ず、これでいってみるか。

小松菜の、水け、を、ペーパータオルで
丁寧に拭き取って、こんにゃく、油揚げともに
あたり鉢に入れ、和える。

ちょっと、割合として、こんにゃく、油揚げが
多めになってしまった。

案の定、味付けは、こんにゃく、油揚げが
濃いので、ちょうどよくなった。


料亭、割烹で出されるものとは、
違うものかもしれぬが、『権兵衛居酒屋』の
ものは、こんなものだった、のかもしれぬ。

うまいもの、で、ある。

身体にもよかろう。





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