断腸亭料理日記2010
12月8日(水)夜
さて、さて。
続くようだが、今日も帰り道、
吉池に寄る。
今日は、7時少し前。
片付けが始まりそうである。
急がねば。
対面販売のコーナー。
今日は、なにがあるかな?。
目に付いたのは、、、
カワハギ。
それも、二種類ある。
一種類は、よく見るもの。
鍋用であろうか、小さいもの。
皮もむいて、さばいてある。
もう一種類は、少し大きめ。30cm弱。
活け締めをしてあるのか、頭の後ろに、
包丁が入っている。
皮もむいておらず、さばいてもいない。
「刺身、肝じょうゆがおいしい」などと、説明が書いてある。
(これ、後で調べてみると、黒っぽいのは
カワハギの類でもウマヅラ、と、呼ばれているもののよう。)
カワハギの季節は、冬、であろうか。
先にも書いたが、家庭では、鍋。
小さいものはスーパーでも売られている。
水炊きなんぞにすると、うまいもの、で、ある。
黒っぽい大きいのは一匹、¥500。
肝じょうゆの、刺身は鮨や、か、
和食の料理や、でしか、食べたことはない。
これを家で食べられるのは、なかなかないこと、で、ある。
迷わず、買わねば。
自分では、カワハギの皮はむいたことがない。
売り場のお兄さんに頼んで、さばいてもらう。
三枚でいいですか?
はい!。
ちょっと、時間がかかったが、できか。
肝もちゃんと入れてくれているだろうか。
プロである、まさかに、念を押すまでもなかろう。
今日は、もう少し、刺身を買おうか。
(早くいえば、腹が減っているのである。)
ちょっと脂のありそうな、まぐろのブツ。
それから、ヒモはどうか。
むろん、赤貝のヒモ。
鮨やで、ヒモキュウ巻にする、あれ、で、ある。
私の、好物、でもある。
なぜだか、ここで、ヒモだけで売っているパックのものは、
いつも、韓国産。
むいていない赤貝そのものもあり、こちらは
国産のものも置いている。ヒモだけでは、国産のものは
流通していないのかもしれない。
鮨やなどでは赤貝は高級ねたで、むいたものは
流通していない、のかもしれない。従って、ヒモだけも流通しない。
そういうことかもしれない。
まあ、安いのでいいか。
なんとなく、衝動買い。
レジで会計をし、歩いて帰宅。
帰って、すぐに、開けてみる。
カワハギは、むろん、心配には
及ばない。
三枚におろした半身二枚と、
肝は、ご丁寧に、さらに別の袋に入れて、
入っていた。
半身は刺身にはなっていないので、
切るだけは、自分でする。
やはり、ふぐ、の、ように、薄く切るものであろう。
さほど大きなものではないので、薄く切ると、
ちょっとたよりない感じにはなる。
全部切って、半身分は内儀(かみ)さん用に冷蔵庫に
入れておく。
肝は、プロは、叩いたりするのかもしれぬが、
よくわからぬので、そのまま、皿にのせる。
他のものも、皿に出す。
カワハギと肝も含めて、三品あると、
贅沢な感じ。
肝を箸で切って、身にのせて、しょうゆをつけて、
食べる。
やはり、やはり、これは、これは、
うまいもの、で、ある。
自宅でこれが食べられるのは、幸せ、と、いうもの、
で、あろう。
吉池、様、様(さま、さま)、で、ある。
しかし、このカワハギの刺身と肝。
肝じょうゆ、だったりする、こういう食べ方は、
東京には昔からあるのだろうか。
どうも、聞いたことはない。
最近の経験では、仙台の立ち喰い鮨では、
身をにぎった、にぎりの上に、
肝をのせたものを、いつも置いていた。
しかし、正統派江戸前を標榜する、東京の
鮨やでは、今でもあまり出さないかもしれない。
今日のものは、活け締め、のようだったが、
そもそも、新鮮でなければ、こういう食べ方は
できない、ので、あろう。
東京近郊でも房総までいけば、カワハギはありそうだが、
江戸湾の奥の、いわゆる江戸前海域には、カワハギは
いなかったのか。
わからぬが、いずれにしても江戸・東京で
カワハギのこういう食べ方は、なんらかの理由で、
発達しなかった、のだろう。
実のところ、私が初めてカワハギの肝じょうゆ、
なるものを食べたのは、三十歳をすぎてから、
場所は、瀬戸内、広島であったと思う。
冬はふぐだが、夏はコレ、と、説明された覚えがある。
(あちらでは、カワハギを、ハゲ、などといっていたか。)
そうとうポピュラーな食べ方で、昔からのもの
なのかもしれない。
と、すると、どうなのであろうか。
東京で生まれ育った、私などは、ずいぶん後になって、
他地方で知った食べ方だが、広島など西日本だけではなく、
先の仙台などを含め、日本全国、東京以外の
カワハギの獲れるところでは、昔から、あった、
のかもしれない。
活け締めを流通させるのは、たいへんかもしれぬが、
こんなうまい食べ方は、東京でも広まって欲しいもの
である。
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