断腸亭料理日記2009
9月10日(木)夜
17時半、王子で終了。
今日は、夜、同僚と、餃子を食いに行こうという
計画があったのだが、席にTELをしてみると、
ドタキャンがなん人か出て、中止、とのこと。
あれま。
どうするか。
これから、会社に戻ることは、むろん考えられず、
餃子の頭になっていたのだが、、、どうしたものか。
と、思い付いたのが、鮨。
しばらくいっていなかったが、新橋のしみづ。
この日記は、連休のものだが、この後、行っていたような気もするが、
定かではない。
(TELをして、いけなかったことも、
なん回かあったような、気もするが。)
王子から、新橋までは、距離的にはいくらかあるが、
京浜東北線で一本。
王子の駅からTELを入れ、6時過ぎからだいじょうぶか
聞いてみる。
OK、よかった。
電車に乗って、新橋まで。
6時を10分ほど回ったところで、新橋に着いた。
しみづの場所は、烏森神社の脇の路地なのだが、
この夏に、路地をはさんで、筋向いに引っ越している。
これは、聞いていたし、新しい店になってから、
前を通りかかって、見てもいた。
そうである、店名も、鮨処しみづ、から、
新橋しみづ、に、かわっているようである。
真新しい格子を開けて、入る。
上着を脱いで、案内された、真ん中の席に座る。
まだ、木の香りがするカウンター、で、ある。
席数は1席増えているのか、心持ち、前よりも
広くなっているような気がする。
先客は、一番奥に、男性が一人。
ビールをもらう。
大ぶりの、いつものグラス。
お通しに、枝豆が出る。
さてと、つまみは、、、なにがよかろう。
やっぱり、たこ?
聞いてみると、たこはない、と、いう。
この時期は、たこは一番よくない、らしい。
は、はー。
たこに、だめな時期があるのは、知らなかった。
改めて、親方の後ろの壁のたねの名前が書かれた
木札を見ると、なるほど、たこはない。
じゃあ、鰹。
木札にあった。
前にも書いているような気がするが、
この店のほとんどのたねは、にぎってうまい、
を、基本に揃えられている。
しかし、鰹は、必ずしもそうでもなかろう。
三切れほど切って、置かれる。
たたき、で、ある。
からしじょうゆで。
炙られた表面が香ばしく、なにか、
特別なスモークかとも思ったが、藁、だという。
脂もよく、うまい。
もどり鰹かと、聞くと、いや、まだまだ。
これは、北海道あたりです、とのこと。
本当に戻ってくるのは、12月くらいだという。
今は、そんなものなのか、昔からそうなのか、
よくわからぬが、、。
やはり、この親方は、こういうひと手間、いや、数手間
かけたもののうまさが、とても秀でている。
最初にきた時であったか、脂がこってりとある、寒鰤(ぶり)を
おそらく、軽く炙り、酢〆なのか、よくわらぬが、
なにか拵え、すっきりとした味わいに仕立てていた。
このあたりが、鮨職人としてのセンスと技量のように思われる。
例えば、小肌の酢〆でも、昔から伝わってきた方法。
その上に、時代に沿って変わってきた方法。
さらに、自分で工夫をしたもの。
そして、徐々に、最もうまいものを目指して、
“仕事”を突き詰めていく。
これが鮨職人の本領というものであろう。
この時の突き詰め方で、職人のレベルが決まり、
センスがわかってしまう。
その突き詰め方と、味に対するセンスは、この親方は
とても優れているのではなかろうか。
別の言い方をすると、そうとうギリギリのところまで
攻めているように思えるのである。
なにか、そんな気迫のようなものを感じる。
いつも通り、つまみは、一品で、にぎりにしてもらう。
最初は、すみいか、小肌。
今日の目的は、実は、この二品にあった。
すみいかの子供は新いか、といって、この時期のもの。
柔らかさが違う。
小肌は、もう、新子の時期はすぎているが、
それでも、小ぶりのちゃんとした、小肌が食べたかった。
どちらも、一つずつ。
すみいか。
新いか、と、呼べるのかどうか、わからぬが、
半分に切ったものか、二切れをにぎったもの。
口に入れると、柔らかく、すみいからしい
あまみも、よい。
小肌。
これも、半身を二枚つけて、にぎってある。
新子と呼ぶには、少し大きいかもしれぬが、
それでも、ほんわかとした、やさしい小肌の香りが
する。
次は、しまあじ、きす。
しまあじは、夏から秋が旬、と、いう。
と、いうと、今がよい頃か。
また、あたりはずれがある魚、ともいわれているらしいが、
これは、うまい。
鯵よりも、食感とすればしっかりしており、
うまみが濃く、また、香りもいい。
きす。
きすは、ここには、年中あるのか。
今年の2月頃から、ここにきているが、
その頃から、いつもあるような気がする。
(天神下、一心でもよく置いていたように、思う。)
赤酢を使ったちょっと濃いめの酢飯に
淡白なきすを〆たのは、よく合っているように思う。
いつもそうだが、ここは、
光りものが充実している。
光りもの目のない私には、うれしい限り、で、ある。
続いて、春子(かすご)と、さば。
春子は、ご存知の通り、小鯛のことで、鮨やでは、
光りものとして扱われ、〆てにぎられる。
また、字の通り、春のもの思っていた。
一般にもそういわれていると、思うのだが、
ここでは、今頃の秋口にも使うのか。
やはり、春子はそこそこの大きさで、開いて〆た一匹を、
にぎってから、二つに切って出された。
やっぱり、うまいもの、で、ある。
さば。
これは、絶品。
〆てあるが、浅すぎず、〆すぎでもなく、
むろん、生ぐささはなく、ちょうどよい脂と、
鯖らしいうまみが、よい。
それにしても、酢〆は、四品。
充実、で、ある。
白身は、かれい。
それから、まぐろ。
今日は、中トロをもらってみた。
これも絶品といってよかろう。
見た目には、赤身のようで、普通は中トロにある
白っぽい脂は見えない。
しかし、口に入れると脂はある。
いや、それよりも、なによりもべら棒に、柔らかく、
誇張ではなく、とろける、ようである。
大トロで、とろける、という表現はよくあるが、
とろける中トロ、と、いうのは、驚愕。
むしあわび。
ここで、むしあわび(しおむし)は、初めてであったろうか。
(鶏皮?)わからぬが、なんらか、
別の香りをつけているような、、。
むろん、うまい。
頼んでおいた、海老。
いつものように、トン、と、二つに切って出す。
みずみずしく、うまい。
〆は、穴子。
これも毎度のことだが、二つに切って、塩とたれ。
べらぼうにうまい。
ビールから、冷酒に代えて、一合。
勘定は、13500円。
この春から、鮨やは、神田鶴八、浅草観音裏久いちと、少し、
開拓をしてきた。その中で、どうであろうか、自分の好み、
値段、(技を含めた)味、店の雰囲気、安心感(はずさない感じ)、
その他いろいろ、考え合わせて、今、ピカ一、か。
新橋がいつもの行動範囲にないのが、私には玉に傷。
格子を開けて、店から路地に出る。
若い衆が、見送ってくれる。
充実、で、ある。
TEL:03-3591-5763
住所:東京都港区新橋2丁目15−13
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