断腸亭料理日記2009
10月4日(日)夜
さて。
日曜日。
今日の夜は、銀座の資生堂パーラーへいくことにした。
しばらく前から、いきたかった。
それにしても、このところ、洋食が続いている。
むろん、これは、洋食が食べたいから。
やっぱり、続けて同じようなものが食べたくなるのは
私の性癖、の、ようである。
昼、内儀(かみ)さんに6時に予約をさせる。
資生堂パーラーも、昨日の、柳橋、大吉同様、
池波レシピ、で、ある。
実のところ、銀座の資生堂パーラーへいったのは、
昨年が初めて。
今まで、いっていなかったのは、値段が高いから。
だが、いってみたら、やっぱり、うまかった。
東京の洋食や、と、いうのは、老舗へいけば、むろん
安くないし、まして、銀座資生堂パーラーでコストパフォーマンス
なんということをいうのは、無意味、で、あるが、
いろんな意味で、満足のできるもの、と、思われた。
買い物に出かける、という内儀さんは先に出ており、
私は、5時半すぎ、に、元浅草の拙亭を、出る。
今日の格好は、銀座でなおかつ、資生堂パーラー。
ストライプの半袖のワイシャツ、折り目が入った
コットンパンツに革靴。
(先週、歌舞伎座へいったのと同じ格好であるが、、。)
一応、ちゃんとして見えることを考えた。
稲荷町まで歩き、銀座線に乗る。
運動に、と、思い、京橋で降りて、中央通りを歩く。
日曜日、6時前のこの時間も、銀座はにぎわっている。
やっぱり、耳に多く入ってくるのは、中国語。
銀座のブランドショップをまわっているのであろう。
歩道で、ブランドロゴ入りの大きな紙袋をぶら下げて、
記念撮影などをしている。
資生堂パーラーは、八丁目にあるので、ちょうど、
銀座八町を突き抜けて歩くことになる。
新橋に向かって中央通り右側。
トラヤ帽子店、アップル、真珠のミキモト、山野楽器、
パンの木村屋、和光。
(縁のないブランドショップは前を通りかかっても、
ほとんど、私の記憶には残らない。)
木村屋は、今年、創業140年と書いてある。
偶然かもしれぬが、日本橋丸善と同じで、明治2年の開業である。
四丁目の交差点。
晴海通りを渡り、鳩居堂。
ユニクロは店舗改装しましたぁ〜、と、店先で
大きな声で店員が客を呼び込んでいる。
昨年来の金融ショックで少し風向きがかわっても
いるやに聞くが、世界の名だたるブランドの路面店が
軒を連ねるこの、東京銀座の中央通りのにぎわいは、
やはり、東京人としては、喜ぶべきこと、なのではあろう。
あるいは、ユニクロであろうが、マツキヨであろうが、銀座の雰囲気が
こわれる、という向きもあるが、やっぱり、
海外有名ブランドショップ同様、人のにぎわいという意味では
私はあってもよいのではと思われる。
海外ブランドショップでいえば、東アジアでは、香港ではなく、
上海や北京でもなく、台北でもなく、東京である、
という今のポジション。
アキハバラも、あるが、今のこの東京のポジションを
どうすれば維持向上できるのか。
(そもそも維持向上しなければならないのか、という議論もあるが。)
オリンピックが本当に必要であったのか、
なくなった今、これから石原さんはどうするのか。
私達、都民はどうしたいのか。
私は、日本という国の企業人でも同時にあるが、
日本という国のこれから。それと不可分な東京という
都市の行く末。
そういうことを考える。
私達はどうすればよいのか。
細かい議論は抜きにして、結論は簡単なように
思われる。
我々日本人、東京人は、我々にしかできないことを
これからもしていくしかない。
やっぱり、これに尽きるだろう。
アニメにしても科学技術にしても、はたまた、にぎり鮨
にしても、我々日本人、東京人にしかできなかったことを
してきた結果であったろう。
そういう意味で、毎度書いているが、私達は私達の
来し方を見つめた上で、私達日本人、東京人としての
矜持を持ち、平坦ではなかろうが、前を向いて歩いて
いくしかない。
なにか、話がへんなところへいってしまったが、
今、銀座の中央通りを歩いていると、そんなことを
考えてしまう。
ほぼ、6時。
八丁目の資生堂パーラー前まできた。
京橋駅から歩くと、10分程度。
人ごみを分けて早足で歩いてきたら、汗をかいてしまった。
内儀さんはもうきていた。
二人で、入り口を入り、エレベーター。
この一階のエレベーター前にも、ちゃんと
お出迎えの店員がいる。
レストランは四階。
ボタンを押してくれる。
四階に着くと、再びお出迎えの店員。
名前をいって、席まで案内してもらう。
奥の方の、窓際。
椅子を引いてもらい、座る。
さすがに、きちんとしたサービス。
女性のハンドバッグなどは、テーブルに
オリジナルのロゴ入り、金属のフックをかけて、
下げられるようにしてくれる。
このあたりも、行き届いている。
座ると、さらに汗が出てくる。
扇子でパタパタ。
手ぬぐいで、汗を拭く。
飲み物のメニューがくる。
やっぱり、ビール。
国産の各ブランドを用意しているが、
ここは、小瓶。
私は、キリン、内儀さんはサッポロを頼む。
ビールは席で、ウエイターがグラスに注いで
くれる、のであるが、これが、なかなか芸術的。
最初にきたときには、随分と感動した。
途中で止めずに、一気に注いぎ、泡をいい按配の割合に立て、
かつ、むろん、あふれさせずにピタッと注ぎ終わる。
見ていて気持ちがよい。
さて。
注文はどうしようか。
コースを前には頼んだが、今日は、単品に
してみよう。
実際のところ、ここで食べたいものは、
決まっている。
チキンライスと、クロケット(クリームコロッケ)。
私には、これしかない。
チキンライスは、私の好物だし、やっぱり、ここのは
うまい。
(ついでに、池波先生の好物であったといってもよかろう。)
また、クリームのクロケットはこの店でも看板にしているが、
それだけのことはあり、うまい。
クロケットはカニもあるが、ミートクロケット。
この二品に、カツレツ。
これも洋食やの王道、看板、で、あろう。
メニューには、アグー豚の、とあるので、これをもらう。
それから、メニューにポテトサラダ、というのを
見つけた。
こんなメニューも置いてあるのか、と、驚くが、
頼んでみよう、なのだが、残念、これは切れている、
とのこと。
かわりに、コンビネーションサラダに。
最初に、カツレツと、クロケットがきた。
金の資生堂のロゴ入りの皿に、鮮やか、盛り付けられている。
内儀さんとシェア、で、ある。
カツレツの方は、ロースで、脂が十分にあり、
かけられた、デミグラスソースとともに、うまい。
クロケットも、芸術的にうまい。
こちらは、見た通り、赤いトマトのソース。
前にも書いているが、ここのソース類は、デミグラスソース
に、しても、クロケットのクリームにしても
そうとうにこってりしている。
カロリーは高いのかも知れぬが、やっぱり、これが
うまさ。
つけ合わせの野菜は揚げたものだが、これもうまい。
サラダは、なぜだか、チキンライスとともに、きた。
(小さいのは、チキンライスについてきたもの。)
チキンライスは取り分けてくれる。
この、薬味のセットが、また、心をくすぐられる。
今時見ない、缶詰の、ような、みかん。
福神漬、らっきょ。
それから、玉ねぎのしょうゆ漬け、の、ようなもの。
これが、うまい。
(写真左下。)
チキンライスも、また、うまい。
ビールもおかわりし、
パンも付いていたからか、
そうとうに、腹一杯。
大満足。
勘定をして、出る。
帰りも、京橋まで、歩く。
むろん、安くはないが、資生堂パーラー
満足度は高い。
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