断腸亭料理日記2009

キハダマグロづけ

6月17日(水)夜

8時、仕事を終えて、オフィスを出る。

なにを食べようか、特段アイデアもなく、
牛込神楽坂駅そばの、スーパーに寄る。

売り場を見て回ると、、

色の薄い、キハダマグロ、フィジー産解凍、と
いうのがサクで、半額。300円ほど。

これは安い。
こんなものでも、ヅケ、に、すれば、そこそこ
食えるだろう。

それにしても、フィジー産というのは、なんであろうか。

日本の遠洋マグロ船はかつては、世界中の海に出没をしていた。
ダイビングでなん回かいっている、モルジブの小さな首都、
マーレの港でも、日本の遠洋漁船を見かけたりもしたし、
ハワイのハワイ島、そして、南太平洋のフィジーも同様。

ダイビングで、南の島へ遊びにいくと、日本の遠洋漁船とよく出会う、
というのも、不思議なもの、で、ある。

獲れるのでうまいのかと思いきや、左にあらず。
ハワイ島でもフィジーでも日本料理やで
マグロをはじめ、刺身や鮨を食べたが、東京で食べるものとは
そうとうな開きがあり、毎度がっかりする。

食べ物、というのは、現地で食べるのであれば、現地の調理法で
食べるのが最もうまいのは、論を待たない。
(南の島では、生で食べる習慣はもともとはなかろう。)

鮨とそれを生み出す鮨職人の技は、東京が世界に誇る、
伝統食文化であり、現在も発展進化中、で、ある。

同じ素材があるからといって、技がなければ
うまいものはできない、と、いうこと、で、ある。

ともあれ。

スーパーの「フィジー産」。

日本の遠洋漁船であれば、表示は遠洋、に、なると思われる。
フィジー産、というのはフィジーの漁船が獲って、
日本へ輸出したもの、なのであろう。
近年、日本の遠洋漁業にも以前の勢いはないようである。
燃油高や、現地の漁業の発達もあるのだろう。

それで「フィジー産」ということになるのかもしれぬ。

さて、さて。
それから、、、と、、谷中。
100円。

これで、よかろう。
立派なもの、で、ある。

帰宅。

ヅケ、と、いうのは、むろん、まぐろのしょうゆ漬け。

今、鮨やなどでは、本マグロの赤身を、ご存知の通り、
即席が多いが、しょうゆに漬けて、出す。

もともとは、冷蔵設備が整っていない頃、
鮨や、だけではなく、一般の家庭でも
東京などでは、していたこと、で、ある。

しょうゆと酒、半々、サクがヒタヒタ、に、
なる程度の量を鍋に入る。一度煮立て、
鮨やでは、煮切る、というが、アルコールを飛ばす。

すぐに、漬けたいので、洗面所に水を張り、
冷凍してあった保冷バッグを沢山入れ、
冷水を作り、鍋を突っ込む。

10分も置けば、冷える。

鮨やなどでは、そうだが、食べるまで、時間がある場合は、
色がわるくなったり、漬かりすぎるので、サクの表面を
霜降り、に、するが、今日はすぐ食べるので、
そのまま。

長いので三つに切って、漬ける。

30分も漬ければよいだろう。

刺身包丁で、切る。
柔らかいのできれいに切るのは、むずかしい。

大葉があったので、敷いてみる。

谷中用の味噌を出そうと、冷蔵庫を開けると、
小肌が一枚。

ウイークエンドに作ったものが残っていたのを忘れていた。
これも食べてしまおう。
切って同じ皿にのせる。

谷中は、洗って、食べやすいように、
縦に包丁を入れておく。
太い部分などは、堅く、この包丁目を入れるだけで、
食べやすさが、段違い、で、ある。


ビール。

キハダマグロ、と、いうのは、色が薄い。
それがほんのり、しょうゆで染まっている。

ヅケ、と、いうのは、ホンマグロでも赤身で、
脂のあるところはしない。
よい天然ものの近海の生マグロ、で、あれば、
なにもしない赤身でもあまい。
しかし、それほどよいものでなくとも、
赤身をヅケにすると、あまくなる。

今日のは、キハダで、さらに冷凍であるが、
それでも十分に、ねっとりとあまいものができた。

しかし、特筆すべきは、小肌。

作ったのは、土曜日で、四日経っている。

匂いなぞかいで、ちょっと、恐る恐る、食べたのだが、、、
これは、これは、うまいぞ。

小肌の場合、〆てからプロは、一晩は置く、のが
あたり前、と、聞いてはいたが、明らかに、当日よりも
四日経った今日の方が、うまい。
生ぐささがなくなっているし、味がこなれている、ようにも
感じられる。
脂もあり、うまい。

冷蔵庫では、小皿にのせて、ラップをしてはあった。
こんな状態でも、まったく問題はないようである。
(プロでも、一週間置くところもある、らしい。)

フィジー産、キハダマグロヅケ、
小肌酢〆。

満足、で、ある。








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