断腸亭料理日記2008
さて、今日は昨日の続き。
京都先斗町の炭火割烹いふき。
昨日は、先付、造り、鯖鮨、まで。
焼きもの、野菜。
目にも鮮やか、で、ある。
まだ青い、銀杏。
松葉に刺してある。
椎茸。
半分に切った、唐辛子。
万願寺?と聞いたら、鷹ヶ峰唐辛子、だという。
やはり、京野菜なのであろう。
素人の私には、食べても違いもよくわからない。
鷹ヶ峰、というのは、京都の北の方らしい。
それから、蓮に、焼き栗。
この栗は、ご主人の田舎、丹波から、
お母さんが送ってくれたものという。
まだ、多少若い、のかもしれぬが、しっかりした食感と
ほくほくと、あまく、うまい。
上の赤いのは、ほうずき。
これを器に、白っぽいのが、白和え。
しめじ、コーン、それから、白い芋茎(ずいき)。
(そうである。昨日、書き落としてしまったが、
先付、の酢の物にも、この白芋茎、が入っていた。)
白芋茎、というのは、いわゆる、芋茎(ずいき)、
里芋の茎(くき)、なのであるが、これを、
白く育てているということだそうな。
白く育てる、というのはどういうことかというと、
東京では、畑の地中に地下壕のような、室を掘り、
この日の当たらないところで、うどを白く育てるというものがある。
白芋茎、というのは、これと同じという。
日の当たらないところで、芋を育て、白い茎を作るのであろう。
柔らかく、見た目にもきれいな芋茎ができる、ということか。
初めてである。
それから、手前の白っぽいもの。
これは、いちじくを蒸したもの、だという。
食べてみると、細かい種が、あるので、わかるのだが、
ちょっとあまい。かかっているのは、ゆるめの練り胡麻、
の、よう。
初秋を盛り込んだ、という趣向、なのであろう。
こうしたもの、見た目だけなら、会席料理で、よくある、
かもしれぬが、ここのものは、見た目だけではない。
どれも丁寧に料理されており、うまい。
まず、作り手の心がこもっている、というのだろうか。
そして、心だけではむろんなく、実際に技もあり、
食べて、うまい、ということ。
ここが、そうとうに、違うような気がするのである。
椀物。
この写真を見ただけでは、わからぬのだが、
いろいろなものが入っている。
一番上には、焼き茄子。(皮をむいたもの。)
そして、“名残の”はも。
これは骨切りをしたもの。
そして、蓮の餅。
あわび。(メガイ)
京料理らしい、というのだろうか、
材料も多いし、かなり手も込んでいる。
それにしても、蓮の餅、というのは、初めて。
米の餅よりは、柔らかめで、歯切れもよい。
蓮、らしい香りもする。
焼きもの。
魚では、ぐじ(甘鯛)か、のどぐろ、から選ぶ。
または、牛肉。
先ほどの野菜もそうだが、どれもここの看板である、
炭火焼。
のどぐろは、この前食べたし、
魚好きの私としては、牛肉ではないだろう。
昨日の鮨や、でも出てきたが、
やっぱり、ぐじ、に、してもらった。
うれしいことに、頭付き。
甘鯛も白、赤、黄、と三種類あり、
東日本では、白が最も珍重される。
これは、赤、のよう。
(甘鯛はなん回か、自分でも買ってきて
焼いたり蒸したり、いろいろとしているが、やはり難しい。)
聞いてみると、やはり、酒を塗って焼いているという。
右側にあるのは、箸休めの甘酢の大根おろし。
頭を付けてくれたのは、私などには、小躍りするほど、うれしい。
頭も全部、解体して、骨からなにから、なめてしまった。
あまみ、うまみ、香り、食感。うまい、ぐじ、で、ある。
酢のもの。
もずくと、おくらと、糸のように切った、山芋。
粘りもの、勢揃い、のようだが、味は、すっきり。
最初に出た先付も酢、であったが、あれよりは濃い目、
かもしれぬが、それでも酸っぱすぎない。
(京都の酢の物は、これが標準、で、あろうか。)
〆に向かって、心憎い感じである。
ご飯。
はもの炊き込みご飯。
おつゆは、信太煮(しのだに)、というらしい。
浅漬け。
炊き込みご飯は、焼いて細かく切った、はも、
それから、栗、枝豆も入っている。
信太というのは、日本料理では油揚げのことだという。
確かに、油揚げで巻いた、信太巻き、というのもある。
(信太というのは、狐の隠喩。
恋しくば尋ねきて見よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉
という歌が、有名だが、歌舞伎にもある(ついでに落語にもある)
「葛の葉 狐の子別れ」に由来している。)
このおつゆは、油揚げに、水菜、春菊が入ったさっぱりしたもの。
浅漬けも、うまい。
また、この、浅漬けの、皿がよい。
京都で見るからよいのかも知れぬが、
百人一首の読み札の柄。それも、業平。
なにかというと、もちろん
ちはやぶるかみよも聞かず龍田川 からくれないに水ぐるるとは
私など、落語、ちはやぶる、を思い出し、一人で微笑んでしまったが、
むろん、秋らしい題、ということであろう。
はもの炊き込みご飯もうまい、ので、浅漬けとともに
バクバクと、平らげてしまった。
と、お替りは、いかがですか?
と、これも前回同様、若い衆が聞いてくれる。
(なぜか、ご主人ではなく、若い衆。
担当、と、いうことなのか、、。)
食い意地の張っている私は、遠慮もなく、頼んでしまう。
すると、食べ終わってしまった、浅漬けの替りに、
奈良漬を出してくれた。
ご主人が行きつけの、どこやらの鮨やで使っているもの
で、そうとうにうまいと思ったんですよ、という
言葉とともに、出してくれた。
うーむ。
どうも、こういうところが、心憎い、ではないか。
いわば、用意したセットを食べ切ってしまったのに、
まだ、うまい、と思ったものを出してくれる、という。
なるほど〜、うまい。
あー。
くったくった、、、。
腹一杯。
水菓子。
豊水(梨)と、葡萄のゼリー。
もはや、なにもいうことがない。
まんぞく、まんぞく。
これ以上の幸せは、バチが当たる。
お会計は、8000円。
(やっぱり、安いであろう。
例えば、松茸、というような高価な材料はないが、それでも
これだけのうまさ、で、ある。
また、書き忘れたが、ビールから、酒に替えていた。
酒は一合、銘柄は、、、これも忘れた、、。)
どっこらしょ、と立ち上がり、荷物を持って、出る。
と、前回同様、ご主人が外まで出て、ありがとうございます、と、
頭を下げる。
本当に、これには、恐縮してしまう。
こちらこそ、おいしかったです。
ここまで、含めて、京都先斗町 炭焼割烹 いふき、
よい店、で、ある。
炭火割烹 いふき
〒604-8015
京都市中京区先斗町四条上がる21番路地
075-211-3263
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