断腸亭料理日記2008

台東二丁目・大原本店・つと麩

5月17日(土)第二食

先日の、日本橋の老舗弁当や、弁松

この中の、つと麩、というもの。
実は、生麩、なのだが、江戸からの、東京伝統の
生麩であった、というようなを書いた。

そして、けっこううまいものである、と。

すると、ご近所にお住いの方からメールをいただいた。
つと麩だったら、例の、雷門の牛肉や、松喜に売っている、
うまい白滝を作っている、大原本店、というところで作っており、
行けば買える、ということを教えていただいた。

この大原本店は、やはりご近所、台東区台東二丁目、
佐竹商店街のちょい南、で、あったのは袋の住所を見て知ってはいた。

そこで小売もしており、さらに、つと麩も売っている、と。
(ついでに、土曜も営業。)

これは、行かねばならない。

朝、ねぎどん、へいった後、
ちょいと、仕事を片付けに、天気もいいので
自転車で、牛込市谷まで。

小一時間やって、出る。

再び、自転車に乗り、戻る。
帰りは別段急がぬので、坂をよけて、飯田橋から
水道橋、神保町を抜けて、須田町。
中央通りを通って、秋葉原、末広町を右に曲がって、
JRをくぐり、昭和通りも渡って、左へ折れる。
目指す大原本店は、住所では台東区台東2丁目。
まったく、味も素っ気もない町名である。
旧町であれば、下谷二長町か、竹町になるのか、
その境あたりである。
佐竹商店街の少し南、程度しか、文章では表現しずらい。

行きがけに建物を確認していたのだが、
反対側からくると、通りを間違えてしまい、
少しいったりきたりしたが、すぐに見つかる。


工場というのか、作業場というのか、
白滝やら、生麩を作っているところで、
直売もしている。
建物は、さほど大きくはない。
このあたりの、普通の家と同じようなもの。

紺地に「麩」一文字の暖簾。

下谷浅草はもともと、職人の町でもあったのだが、
こうした、決して大規模ではないが
食べ物を作っているところも、意外にある。

拙亭近所の元浅草には、都内のラーメン屋さんの
生ラーメンの製麺をしている、ところでは少し名の知れた
製麺所もあるし、また、路麺(立ち喰そば)用のそば、うどんを
作っているところも、数軒ある。

まずは、つと麩。
つと麩、以外にも、生麩はいろいろな物を取り揃えて
いるのだが、店で買えるのは、冷凍してあるもの。
作りたて、生のものも、あるにはあるようだが、
売り切れのよう。
きっと、ここで小売をするよりは、料理屋などからの
注文で作っており、必要以上には、
作らないのではなかろうか。

冷凍のつと麩、お買い得のものがあります、
というので、味は変わらないが、作る工程で、
切れてしまったもの、なん本か入って、150円。
これを二袋。

水に漬けておけば、すぐにとけます、とのこと。

つと麩の隣に、ちくわぶ、も、売っている。

値段はむろんちくわぶが安いが、なるほど、で、ある。

ちくわぶは、東京の食い物であると思われるが、
このように隣に並んでいると、ちくわぶの生まれが
わかるような気がする。
太さは違うが、形はどちらも同じ。
小麦粉からグルテンをあまり出さないと、ちくわぶで、
グルテンを出すと、つと麩になる、というわけであろう。

それから、例の白滝。
これも、切れてしまったもの、同じくお買い得。

さらに、ここには、生湯葉、なども作っているよう。
これも買っていこう。

帰宅。


レジ袋には、宮内庁御用、としてある。
なるほど。

おそらく、歴史があるのであろう。

しかし、御用達、ではなく、御用、というのが
ちょっと目を引く。
御用達、の方がよく見るように思うが、
使い分けがあるのであろうか。
御用、で、切った方が、古そうに感じるような気もするが。

こんな感じ。

つと麩は、いわれた通り、水に漬けておく。

白滝。
袋を切って、出してみる。

あれ?あの、松喜で売っていた細いものではない。
太さは普通の白滝。
細いのがよかったのだが、、。

一応、買うときに、太さは同じですか?と、聞いたのである。
ここでは、実はいろいろ、太さも種類があったのだ。

そりゃあ、切れているだけで、太さは太い白滝と、
変わるものではない。
太いものも作っているのを、知らなかったので、
こんなトンチンカンな会話になったのである。

ともあれ。
まずは、湯を沸かし、しばらく煮立て、湯通し。

一度洗って、脂、なんとなく、うまかろう、と、
ラードで炒める。

ここに、しょうゆと酒、砂糖も入った方がよかろう。
煮詰めながら炒め煮、味を含ませる。

さて。
とけた、つと麩。

これは、砂糖はなし、しょうゆと、酒だけで濃く煮てみよう。
先日の、あま〜い、弁松のものと比べる意味である。
煮立ったら、アルミホイルで落としぶたをし、弱火で煮込む。

なんとなく、どのくらいの時間がよいのが、
感じがわからぬ。
十分ちょい、であろうか、、?

生湯葉は、切るだけ。

それぞれ、できたものを並べる。
これは、まあ、酒、で、あろう。


まずは、白滝。
これは、やはり、細いものがよかった。
腰はやはり違うようだが、あの感動のもの、ではない。

つと麩。
ちょと時間が短かったか。
むろん食べられるが、中心部が少し、硬め。

味は?
わるくはないが、しょうゆと、酒のみ、よりは、
やはり、少し甘めの方が
生麩の食感にはあっているような、気もする。

生湯葉は、まあ、普通の生湯葉。
わさびじょうゆで食べると、ちょっとチーズのような。
普通に、うまい、だろう。

ともあれ、江戸、東京伝統の生麩。
つと麩。

食べたことはなかったが、昔から、料亭向けなどに
作っていたのであろう。
それが、こんな近所で作っている。
ちょっと、発見である。



大原本店




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