断腸亭料理日記2008
5月13日(火)夜
またまた、急に寒くなった。
天気もいま一つ。
今日の最高気温は、13℃。
五月とは思えない。
なんであろう。
ミャンマーのハリケーンやら、四川の大地震やら
どうも落ち着かぬことである。
夜、オフィスを出る。
さて、今日はなにを食おうか。
寒いので、なにか温かいもの。
煮物、で、あろうか。
小松菜と浅利のむき身の煮びたし、これでいこうか。
帰り道、牛込神楽坂のスーパーに寄り、
まずは、小松菜。
なにか、小松菜だけでなく、ほうれん草など、
葉っぱ物が、高い。
もともと、小松菜は東京では雑煮に入れるくらいで、
冬の野菜では、ある。
それから、油揚げも。
そして、浅利むき身。
このスーパーには、珍しく、
浅利むき身がいつもある。
浅利のむき身をなど買う人は、今時、そうそう
ないのではなかろうか。
だが、値段は高い。
小さなパックで、¥500近い。
私にとって、小松菜と浅利むき身をしょうゆで煮た、
煮びたしは、小さい頃からよく食べていた、
いわば東京の、故郷の味、で、ある。
毎度書いているが、私の父の生まれは、
今の、品川区大井町、あたり。
曾祖父までさかのぼると、先祖代々の
あのあたりの、百姓であった。
今でも親戚もあり、本家もあるはずだが、
三男であった祖父の代に土地を離れているので
私には本家の所在はもうわからない。
小松菜はご存じの通り、もともとは、
今の江戸川区小松川で作られていた菜っ葉。
小松川の菜っ葉で、小松菜。
江戸野菜、である。
そして、江戸湾、東京湾を目の前に持つ、江戸、東京は、
浅利むき身も安く、庶民にはとても馴染みの深い
おかずの材料で、あった。
深川名物、浅利のぶっかけ、も、
浅利むき身を使った、代表的な江戸、東京の
食い物、で、あろう。
ともあれ、帰宅して、作る。
の、だが、まあ、作る、というほどのことでもない。
しょうゆと、酒で味濃く、煮るだけ、で、ある。
小松菜は、よく洗って、切る。
むき身も洗う。
油揚げは、2枚分、短冊に切る。
水が出るので、軽く、圧力鍋で煮てみよう。
鍋に、少量の水、小松菜、むき身、油揚げ、
しょうゆと、酒を入れ、煮立てる。
蓋をして、圧を上げて、5分ほど。
後は、火を止めて、放置。
圧の下がるのを待つ。
小松菜一把分であるが、大した量もない。
油揚げの方が、多くなってしまった。
盛り付ける。
こんな感じ。
煮びたし、で、ある。
こんな風に、くたっと、しているのがよい。
酒としょうゆで、味も濃い。
浅利と、小松菜、ともにかすかな苦みがあるのだが、
これが呼応する、というのか、よく合う。
しょうゆの濃い煮びたしには、やはり、酒、で、ある。
冷(ひや)の辛口、菊正宗。
今日は、これだけで、酒を呑む。
私にとっては、まぎれもなく、故郷、
東京の、味、で、ある。
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