断腸亭料理日記2008

断腸亭の年越し2008 その3

さて、引き続き、断腸亭の年越し。

昨日は、鳥越神社の初詣から、寝るまで。


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12月31日(月)から1月1日(火)

さて、2008年の一月元旦の夜が明けた。

起きると、まずは、餅を焼くために、炭を熾す。

寒い朝、で、ある。

拙亭はマンションで、部屋の気密も高いので、
室内は、寒いこともないのであるが、
炭を置いてあるベランダに出ると、寒い、寒い。

火熾しに炭を入れ、いつものように、ガスレンジで熾す。

雑煮の準備は、内儀(かみ)さんがする。

入るものは、鶏肉、里芋、小松菜。青みに三つ葉。
つゆの出汁は、鶏がらで、しょうゆ味。

材料を買ったのは、筆者。
鶏肉と鶏がらは近所の鶏肉やのもの。
鶏がらは、暮れのうちに、寸胴鍋に七輪で煮出しておいた。

里芋は、今年は、新堀通りの八百屋で、安かったので、セレベス。
セレベスは、最近は普通に出回るようになってきた。
原産地はインドネシアのセレベス、スラウェシ島。
煮崩れしにくい。そういえば、一昨年、箱根塔ノ沢の温泉旅館、
福住楼の煮物として出てきていた。

これも準備は暮れのうちに、内儀さんがした。
皮をむいて、一口に切り、茹でておいた。
内儀さんも驚いていたが、茹でても、里芋特有のぬめりがない。

小松菜。これも同じ八百屋。
これも今年は安めであったか。
堅めに茹でて、水気をよく切り、一口に切っておく。

三つ葉は根のあるもの。水につけ、ベランダに出しておく。

鶏肉も茹でておく。

これらを元朝、準備をする。

火のついた、炭を火鉢に移し、餅を焼く。


この、炭を熾し、火鉢に餅網を載せ、餅を焼く、というのは、
なかなかよいものである。

筆者の子供の頃、筆者の育った家には、もう既に火鉢など
なくなっていたが、親爺は石油ストーブの上で
楽しそうに、雑煮用の餅を焼いていた。
(親爺は、雑煮がなによりの好物であった。)

そういえば、今、餅は、一つ一つ、パックに入っているが
子供の頃は、米屋で搗いた、大きな四角い、のし餅
(一枚一升であったろうか)を買っていた。
白く、赤い線の入った、ビニールで一応のところ、
包まれていた。
買ってすぐは柔らかく、硬くなったところを包丁で、四角く切る。
この切る作業を母親にやらされ、よく手を切ったものであった。

また、こうして、手で切るので、それぞれがきちんとした
長方形ではなく、台形だったり、みな不恰好。
そんなことを思い出す。

さて、あまり食べ過ぎてもいけないので、二個。

鶏がら出汁にしょうゆを入れ、各材料を入れ
煮立ったところに、焼けた餅を入れ、煮ずに終了。


親爺は、この、餅を煮る、というのをとても嫌った。
焼いてすぐに、熱いつゆに入れ、すぐに食う。
煮て、とろけさせる、なんというのは、もってのほか。
そんな感じであった。

セレベスは、つゆに入れても形がしっかりしている。
里芋は溶けるくらいの方がよい、という向きもあろうが、
これはこれで、雑煮にも合うかもしれぬ。

さて、第二食。

昨夜、食べられなかった、神田まつやのそば。
これを、鴨せいろ、にする。

まず、缶のつゆを鍋にあける。
ストレートのつゆであるが、鴨肉も入れるので
見た目に、ちょっと少ない。
鰹だしを取り、酒、しょうゆ、砂糖も加え、
つゆの量を増やしておく。

鴨肉は、脂身を半分ほど取り、細かく切って、
つゆに入れ、軽く煮出しておく。

肉と、太く切ったねぎをガスのグリルで、焼く。
脂はこんがりと、赤身の肉の部分は半生、というのが
よいのだろうが、これはなかなかむずかしい。
少なくとも、火を通しすぎないことに気を付ける。

これを、つゆの鍋に入れておく。
大鍋に湯を沸かし、そばを茹でる。

せっかくの、まつや、の、そばである。
きちんと茹であげねばならない。

そばを入れて、くっつかぬように、回しながら、沸騰してくるのを待つ。
沸騰したら、火を弱め、しばらく待つ。
生そばは、トータルで、1分程度であろうか。
すぐに茹る。

一本を取って、水で冷やし、湯で具合をみる。

まだ堅い。

もう10秒ほど。

もう一度、みる。

OK。

すぐに、ざるにあける。
(ここでまた、そば湯をボールに取っておくのを忘れてはいけない。)
水道水を出しっぱなしにし、数回、鍋とざるを移し変えながら
手でよくそばを洗う。

OK。

つゆの方を一度、熱くする。

この間に、そばをざるにきれいに並べる。

つゆに切った三つ葉も散らし、お椀に入れる。

完成。

ビールを開けて、鴨せいろを、食う。

昨日から、鴨ばかり食べているが、
やはり、この鴨せいろが、一番うまい。
それも、神田まつやの、そば、で、で、ある。

焼いたねぎも、よいが、
このつゆが、また、べらぼうに、うまい。
昨日の脂だけではなく、肉からも、うまみが出ているであろう。
これだけで、十分に、酒が呑める。

こんなものが、正月、ゆっくり、自宅で食えるというのは、
なんと幸せなことであろうか。

ありがたいことである。



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