断腸亭料理日記2007
10月6日(土)夜
秋刀魚の最盛期、と、いってよいのであろう。
筆者もこの秋、いや、最初は八月初旬、太助寿司からであったか、
なん回も食べている。
9/1、刺身など。(書いていないが、このとき塩焼きも。)
皆さんもこの秋は、なん度も食べられているだろう。
19時前、田原町の赤札堂へいく。
秋刀魚が一本、78円。
筆者が見た中で、この秋、最も安いだろう。
これは買わずばなるまい。
旬の魚は安い。そして、うまい。
このことを我々は忘れてはいけない。
高い金を出して、遠くの珍しいものを食べるのもいい、
年がら年中ある、養殖の鮭の切り身や、冷凍まぐろの刺身もいい。
(むろん、筆者もどちらも食べる。)
しかし、海に囲まれた、日本人が本当に食べなければいけないのは、
旬の安くてうまい、近海で獲れた、魚である。
若い人にも、是非、このことは憶えておいてもらいたい。
そのときに、近くで獲れたものを食う。
今、流行のスローライフは、なにも特別なことではない。
秋には秋刀魚を食う。
四方を海に囲まれた日本人のスローライフは、
これでよいのである。
これが我々の文化、というものではなかろうか。
ともあれ。
秋刀魚、四本と、大根半分を買う。
帰宅。
どうしようか。
ガスで、焼くのではおもしろくない。
久しぶりに、七輪で焼こうか。
火鉢の暖房用に使えない、匂いの悪い炭がまだある。
これで焼こう。
火熾(ひおこ)しに、炭を二つほど入れ、ガスにかける。
匂いがすごいので、換気扇を回しながら。
ある程度火が付いたところで、ベランダの七輪に移す。
扇風機を出してきて、七輪にあてる。
炭を熾すのは渋団扇、というのが、雰囲気であるが、最近は
扇風機をあてることを、憶えてしまった。
(むろん、渋団扇も、拙亭にはある、のであるが。)
カンカンに熾きるまで、扇風機をあてておく。
この間に大根をおろす。
秋刀魚にはたっぷりの大根おろしが欠かせない。
たっぷり、が、ポイント、で、ある。
少ないのはいけない。
七輪の様子をみる。
だいぶ熾きてきた。
網を用意。
主婦の知恵、のようなもので、魚が網にくっつかない工夫として
酢で、拭いておく、というのが、あったので、やってみる。
半分に秋刀魚を切り、塩をする。
ベランダへ移り、準備。
扇風機を、背後に置き、煙が部屋に入らぬようにする。
秋刀魚を網に並べる。
火が、だいぶ強かった。
あっという間に、焼けてくる。
脂も落ち、煙も、もうもうと上がる。
この煙が魚にあたると、燻(いぶ)された格好になり、
脂くさくなって台無し。
そこで、(本当は団扇で扇ぎ、煙を飛ばすのだが)
扇風機をあてる。
と、さらに、炭が熾き、火が強くなる、、、
なにか、悪循環、で、ある。
ひっくり返す、、、。
酢をぬった効果、、、もあるのかないのか、、。
メチャクチャにはならないが、多少くっつく。
だいぶ焦げてしまった、、。
反対側も同様にして、焼く。
いやー、、真っ黒、、、。
ビールを抜く。
見た目ほどには悪くない。
表は真っ黒だが、中は問題ない。
おろしをたっぷり載せ、こげもそのまま、
しょうゆをかけて食べる。
数年前から、以前は食べなかった、はらわたも食べるようになった。
はらわたもおろしをたっぷり。脂がのり、格別に、うまい。
ご存知、か、どうかわからぬが、落語に「目黒の秋刀魚」、
と、いうのある。
先代金馬、で、あったか、の録音に
目黒の庶民(百姓?)が秋刀魚を焼いている描写があった。
「じゅうじゅうと煙を上げ、まだ赤い炭の燃えかすが
焼き上がった真っ黒の秋刀魚に、くっついて、、」
と、いうような感じであった。
炭で焼けば、やはり、真っ黒になる、、ものかも知れぬ。
どちらにしても、秋刀魚は、まぎれもない、
秋の庶民の食い物で、ある。
うまい、うまい、、、。
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